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柚葉「……大丈夫?」

『ぅえ、何が?』

柚葉「目、赤いけど」

『あ、あぁ、えと……泣ける映画見たの、寝れなくて』

眠れなかったのは本当の事だった。

昨日はあの後、柚葉ちゃんのお兄さんは本当に悪かった、なんて言葉を残して帰って行った。

私も私で色々なことを考えすぎて、なかなか寝付けなかった。


『ねぇ、柚葉ちゃん。』

柚葉「ん?」

『お兄さんのこと、好き?』


まただ、また。


柚葉「あ、あんまり好きとか無いかな。
前も言ったけどさ、ほとんど帰って来ないし話さないから」

やっぱり、柚葉ちゃんは大寿さんと仲が悪いんだよね。


『なんかごめん、いきなり変なこと聞いたね』

柚葉「いや、いーよ。
それよりA、アンタ三ツ谷と知り合い?」

『みつや?誰?』

柚葉「あれ、知らなかった?
三ツ谷隆って言ってね、渋谷第二中の手芸部で部長やってるの。
Aもほら、家庭科部だから関わりあるんじゃないかと思って!」

『渋谷第二中学?
あ、もしかしていつも作品展示出してる同い年の人かなぁ。
まだ顔合わせたことは無いんだけど、良く賞とってるから覚えてるよ』

柚葉「会ってみない?
三ツ谷にAの話したらさ、気になるって言ってた。」

『うん、別に構わないけど……』


そう返事をしたら、柚葉ちゃんは上機嫌になってそのまま近くの公園へと連れていかれた。

そこには柚葉ちゃんの携帯の待受画面に写っている男の子がいた。あとは私と対して変わらない背丈の銀髪の男の子。


『?』

柚葉「悪ぃ、待たせた」


「いや、対して待ってねえよ。で、その子が例の?」

柚葉「そ、聖Aっつーの。
ウチの中学でさ、家庭科部!」


「初めまして、オレ三ツ谷隆。」

この場で互いのことを知らないのは、私だけか。

『聖Aです!よっ、よろしく!』


なんだか緊張してしまって動きがカチコチになってしまう、それを柚葉ちゃんに笑われるまでがセットだった。

三ツ谷「家庭科部っていうとさ、俺の出す賞に毎回作品出してる子がいるっぽいの。
もしかして聖さんかなって思ったんだけど、」

『わ、私もね!毎回同じ賞に作品出してる人がいて、気になってたの!
もしかしてそれって、三ツ谷くんだったりするかな?』

三ツ谷「あー、えっと、この前はオレンジ色のミトン出してたかな、確か。」

『……あ!やっぱり!!!
私、タータンチェックのプリーツスカート出してました!』

三ツ谷「マジ?それ聖さんなん?
うわずっと話してみたかったんだよね俺、何か嬉しいわ!」


その日は日が暮れるまで柚葉ちゃんと柚葉ちゃんの弟くんを置き去りにして、三ツ谷くんと盛り上がっていましたとさ。

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作者名:HAL | 作成日時:2023年11月15日 23時

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