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大寿「愛情の深さは共に過ごした時間に比例するのか?」




結局私ひとりの力で彼を押し返せる訳もなく、また昨日のように家に押し入られてしまった。

なるべく距離を取って、私は部屋の隅の方で正座した。


『わ、わたしはすると思います』

大寿「何故?」

『な、なぜ……?』

大寿「過ごした時間に愛情の深さが比例するとしたら、一目惚れはどう説明する?」

『一目惚れしたからって言っても、愛情が深いかどうかなんて分からなくないですか?』

大寿「では運命の人やなんかはどう説明するんだ?」

『どう説明って……私には分からないです。

まず私はそういうのは段階を踏むべきだと思ってて、私の年齢でもまだ早いと思うしそれに、貴方の気持ちも理解できないし……』

大寿「それなら、段階を踏んでいれば構わないのか?」

『そういうことでも、ないし……』


どうにも、この人ってよく分からなくて。
考えを色々話してはくれるものの、やってることはめちゃくちゃだし。

見た目はすごく怖いんだけど、話していたら存外そんなこともないし。
……と思ったら威圧されると動けなくなるぐらいに恐怖を感じる。



『私、あなたのこと分からないのに、いきなり昨日そういうことされて……』

ポロリと、涙がこぼれ落ちた。


『授業でもまだならってないのに、ただよくわかんないままあんなことされて、もしかしたら赤ちゃん出来ちゃうのかもって思って、』

『人の……私のことなんだと思ってるんですかっ』



大寿「…………」


何も言わない彼のことを恐る恐る見上げると、驚いた顔をしていた。
そんな顔をしたいのは私の方だっていうのに。


『私、まだ好きな人もいなくて、恋だってしたことないのにっ』



気が付けば、ベラベラと話をしていた。

あなたが私にしたことは絶対に許せないって、何故か今は何も怖くなくて、それをハッキリ言うことが出来た。


『貴方のことなんて、好きじゃないんですからね私!!!』

『ツンデレとかじゃなくてほんとに、
私はただ、あなたが柚葉ちゃんのお兄さんだから、だからこうして話してるだけで……ほ、本当に関わりのない他人だったらとっくに警察に行ってます。』



大寿「……俺は順番を、間違えたんだな。」



『い、いまさら何言っても許さないからっ』

大寿「そうか。」

『でも、あやまってください』

鼻をすすりながらその分厚い胸板を何度も叩く。
涙を拭うこともしなくて、ただひたすら、どこにもやれないような怒りとかをぶつけるみたいに叩いていた。

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作者名:HAL | 作成日時:2023年11月15日 23時

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