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私の名前は聖A、今日はいつものように学校へ向かうんだけどいつもとは違うことがひとつ。
『お待たせ、ごめんね』
「いや、気にしないで。大して待ってないから。」
友人と、一緒に学校に通うのだ。
『今日って体育あったよね』
「うん、今日バレーって聞いてるけど」
『よし、髪ゴム持ってきたし大丈夫だ！』
一年の時から同じクラスで、席も結構近めの柴柚葉という女の子。彼女は中学に入ってから初めてできた友人で、今度家に遊びに行くことになった。
授業や学校内での活動で、何かとペアになることも多くって、今では気を許すことの出来る数少ない人のうちの一人だった。
「そういえばA、この前の身体測定で身長伸びたって言ってたよね？」
『あ、うん。そうなの！』
「いくつンなったの？」
『172cmだったよ。
大きいから目立っちゃうけど、どこかで役に立ったらいいなって思うの』
「うーん、それならモデルとか？
Aはメイク映えしそうな顔だし、結構アリだと思うけどな？」
『モデルかぁ、あんまりピンと来ないな。』
そうしてまだ全然見えない将来のことを話したり、他愛のない会話をする毎日がとても好きだった。
学校に着いたらいつものように授業を受けて、時折目が合ってアイコンタクトをして、楽しく一日が過ぎていく。
「ん〜！ようやく終わったぁ…！！」
伸びをしながらそんなことをいう柚葉ちゃんが面白くて、思わず笑みが溢れ出す。
「今日はどっか行く？」
『うん、柚葉ちゃんが他に予定なんもないなら！』
「よし！じゃあ行こっか！」
『どこ行こっか、スイーツ食べたいなぁ！』
「いーね！適当に繁華街の方まで出てお店探そっか」
これが"友達"だってことを、数年前の私は知らなかった。
友達、と呼べるような人間は周りにはいなかったし、親もマトモじゃなかったから。
「今日はAのしたいこと全部しよう、久しぶりに。」
そうやって、彼女は私を守ってくれる。
その優しさに触れて、彼女を一生大切にしたいと思うようになっていた。
ただ、そこに恋愛的な意味はなくて、ただただどん底にいた自分をすくい上げて、今みたいに自然と笑顔でいられる時間を作ってくれたことに感謝しているのだ。
「そうだ、明後日ウチ来たら？
前から来たいって言ってたじゃん、そろそろテスト期間だしちょうどいいんじゃない？」
なんて提案が、私の運命をまた違った方向に大きく変えることになる。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年11月15日 23時
