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くしゃり、と手に力が入り、手に持っていた書類がよれる音がした。そして、最初の原因となった報告書に手を取った九井は跡の残る字をすらりとなぞったときだった。
九井のスマホが小さく振動した。会議中の為出る訳にもいかず、着信画面だけみて拒否ボタンを押そうとした九井だったが、その相手の名前を見てガタッと席を立った。
「…Aだ。」
「は?スピーカーにしろ九井」
春千夜の言葉に、素直に頷いた九井はスマホを中央に置いてスピーカーモードをオンにした。
「おいA、何処にいる」
「…梵天の幹部様ですかァ?此奴は預かってますよ、ウチでそれはそれは大事になぁ」
マイキーの言葉に返事したのはAでは無かった。
「誰だテメェ」
「黒狐のNo.2…とでも言えば貴方達には伝わるだろう」
「ッチ、殺す」
「はは、野蛮だな」
蘭の言葉に反応したのは、少々イントネーションに訛りのある男だった。
「近々アンタら梵天とやるつもりだったんだが、たまたまいいのが釣れたんだ。梵天幹部綾辻Aがな。そこでだ、提案がある。抗争を開けば少なからず互いに犠牲が出る。特にウチは特別に隣国から手練を沢山連れてきているんだ。梵天もタダでは済まないだろうね」
「何が言いたい」
「綾辻Aが欲しい。…その代わりとは言ってなんだが、くれればこの抗争は無しにしてやる。どうだ?大人数の犠牲を取るか、否かだ。」
「アァ?ンなふざけた事いってンじゃねェよ、スクラップにしてやらァ」
その言葉に春千夜はガン、っと椅子を蹴ってスマホに向かって叫んだ。スマホを手に持ち床に叩きつければ床に破片が散らばった
「…俺のスマホだぞ」
「番号割れてンじゃ使えねぇだろがこれから」
「ッチ」
おい、そんな言い合いしてる場合じゃねえだろと竜胆が仲裁に入り、蘭はマイキーに口を開いた。
「ボス、」
「あぁ…早急に屑共の本拠点を割り出す。灰谷と三途は今から横浜へ向かえ。九井は一旦ここで待機して連絡があれば横浜に。明石と望月は下の奴らに連絡を。」
「俺と鶴蝶は1度新宿に寄る
1匹残らず潰せ」
「了解」
首領の命令により、みんな席を立ち部屋を出ていく。九井だけが会議室に残り、パソコンと睨めっこをしていた。
「…無事でいろよ、」
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綾人 - 21.22話ぐらいの時に綾辻くんの名前を綾人で設定していたので、なにがなんだか分からなくなってしまってカオスで面白い状況になっていて笑いました!こういう小説がずっと読みたかったので嬉しいです。これからも無理せず頑張ってください! (7月27日 21時) (レス) id: 37a56df5f0 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます。この作品に出会ってくれて本当に嬉しいです。私も綾辻くんには思い入れがあるのでこれからぜひ推してあげてください (2023年2月27日 1時) (レス) id: 4cbd1f8990 (このIDを非表示/違反報告)
m(プロフ) - 初コメント失礼します。綾辻くん本当に可愛くていつの間にか、推しになっていた、とっても面白い作品でした!完結する前に出会えなかったこと、とても悔しいです。この作品を作って、残していただきありがとうございました! (2023年2月19日 11時) (レス) @page47 id: 0d9b393e0f (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - あ。さん» そうです!18禁じゃないリクエストもお受けしております〜! (2022年4月17日 11時) (レス) id: 47f23e3d75 (このIDを非表示/違反報告)
あ。(プロフ) - 短編集ってR18のほうですか?いつも面白いです! (2022年4月17日 8時) (レス) id: 976bfd9362 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Noah | 作成日時:2021年10月25日 15時