ヒツジと狼 #tokyo-revengers (ページ22)

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ヒツジと狼⑳ ページ22

「あったけぇだろ？」

「うん。ふわふわすごい」

「語彙バカになってんよ」

「…ごめんね。最近ずっと助けてもらってる」

「助けてもらったと思ってんならありがとうじゃねぇの？」

「それはもちろんだけど、申し訳なさも思ってる」

「んなこと気にするくらいなら俺らといればいーよ」

「？」

「アホ面してやんの～。竜胆冷やすもんとって～」

「ん」

「とりあえず飯できるまで冷やそうなあ」

そう言って、頭を蘭ちゃんの足に乗せられて
閉じた瞼の上に、ガーゼで包まれた保冷剤が乗る。
そういえばずっと瞼が重たかった。

そりゃあれだけ泣いちゃえば、そうだよね
今更恥ずかしさがこみあげる。

「Aちゃんはさぁ、」

「うん」

「友だちいねーの？」

「…？竜胆くん私貶されてる？」

「どちらかというと貶されてんな」

「純粋な疑問だっつの～」

「んー…全くいないわけではないけど、少ない」

「さみしくねぇの？女子大生なんてキャッキャうふふするもんだろ～？」

「何それ」

「テレビでみた」

「何見てるの？」

小学校、中学校、高校と友だちはいた
でも、大学生になった途端にそうではなくなって

大事な人って、少ないんだなって
自分が大切にできる範囲を超えて、無理に関わらなくてもいいんだって
そう思うことが増えた。

「飯できた」

「はあい」

身体を起こして、ダイニングテーブルに向かえば完璧な昼食が並んでいて
思わず「嫁だ」って言いかけた口を結ぶ。

「いただきます」

「ん。どーぞ」

「竜胆水とって」

「ん」

「美味しくないわけなくない？」

「なんで俺キレられながら褒められてんの？」

「だって美味しい」

「そりゃよかったわ」

竜胆くんが作ってくれたご飯を食べて
蘭ちゃんが買ってくれていたケーキをお皿に並べる。

甘いもの、蘭ちゃんはたまにしか食べないみたいで
ケーキは私と竜胆くんが選べるように4種類も入っていた。

「Aは？ラテ飲む？」

「うん！ありがとう」

「Aちゃん一口」

「はい」

「んー、まあまあ」

「これでまあまあ？」

「真顔で言うな～？うまいならそれらしい顔しろ？」

そのあとも目を冷やして、暗くなる前に自宅へ帰ることにした。

蘭ちゃんも送るって言ってくれていたけれど、家を出る直前に電話がかかってきて
竜胆くんが何かを察して、竜胆くんと二人で帰ることに。

明るかった空はどんよりとしていた。