ヒーローと甘々。その１７。【仮面ライダー】【スーパー戦隊】

✿ペンフレンド。　ギーツ【キューン】 ページ30

✿刻卯様リクエスト✿

ＮＯサイド

Aは帰宅して、ポストを開ける。

いつも通りに１通の手紙。

差し出し人の名前を見ると、“キューン”の文字。

今時古風だが、Aはキューンと言う男性と手紙を交換している。

所謂ペンフレンド。

キューンと手紙を交換してからかなりの年月が経っている。

彼氏の居ないAにとって、キューンは王子様の様な存在だった。

内容はいつも甘く、恋愛漫画でしか見ない様なイケメン台詞が並んでいる。

例えば“いつでも君の味方だ”とか“俺の全て君に捧げるよ”とか。

台詞を聞いただけで、見た事も無いのにイケメンだろうと決められる位に甘い。

そしてある日届いた手紙に、“今度会いませんか”と書いてあった。

どうやら案外近場に住んでいるらしく、待ち合わせ場所も直ぐに決まった。

デート(仮)当日、Aは目一杯のオシャレをして待ち合わせ場所に向かった。

暫くその場をキョロキョロしていると、上背のある、緩くパーマの掛かった茶髪の男性を見付けた。

人目を引く様な所謂イケメンで、Aは彼がキューンなのだと思い、声を掛ける。

『あの………キューンくん、ですか？』

キューン「君がA？」

どうやら彼がキューンらしい。

Aが話し掛けると彼は持っていた花をパッと後ろに隠した。

キューン「ふーん、彼氏の居ない一般人と聞いていたけど、案外モテそうな顔してんだね」

『え……？ど、どう言う……』

見た目こそ想像通りだったが、何だか口調が皮肉っぽい。

王子様の様な甘い台詞等飛び出す事も無く、どちらかと言うと憎まれ口を叩いていた。

だがAは彼が持っている花束に目敏く反応する。

『もしかしてその花束、私に？』

Aが聞くとキューンはサッと目を逸らした。

しかし今更はぐらかそうとしたって無駄である。

だって今日はデートをすると決まっていたし、そもそも誘ったのはキューンなのだから。

Aは花束を見て尋ねる。

『それ、ブーゲンビリア？確か花言葉って………』

キューン「それ以上言うな」

Aの口をキューンが押さえる。

図星らしい。

『不器用なんだね、キューンくんって。あんなに王子様みたいだったのに』

キューン「幻滅した？」

『ううん、余計好きになったよ』

Aが言うので、キューンは顔を真っ赤に染めた。

《ブーゲンビリアの花言葉＝貴方しか見えない》



リクエストありがとうございました✨

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