75 ページ27
.
「ほら、わかったらさっさとどっかに行ってくれる?私の偽物なんて見たくもないの」
『…………』
扉を開けて、部屋を出て行く。
庭園の奥の人気の無い場所に行き、芝生に座った。
『…っ、私は、A…だから…』
私はA、あれは偽物、私が本物。
でも、本物より優れている偽物なんて…。
私が偽物で、あっちが本物で…。…違う、そんなわけない。
私にはロボロさんと話していた時の記憶がある、名前も年齢も覚えている、幼い頃からの記憶だって……
『……あ、あれ、おかしいなぁ……』
昔と同じように思い出せない。
…どうして、つい最近までは覚えていたはず…!
……名前が、思い出せない。
なんで、おかしい…、さっきまで…!!
『…っ、私の居場所なんて、無いの…?』
涙が止まらない。
もう私は自分が誰だかもわからなくなっちゃったし、私を待ってくれてる人も、覚えてくれている人もきっといない。
…私が偽物、だったのかな
ずっと我慢していた分の涙が全部溢れてくる。
どうせ誰も見えていないんだから、と嗚咽を零しながら独りで泣く。
これから、どうしようか。
今まで通り、ロボロさんのお手伝いを…。…今まで通りって、なんだっけ。
あぁ、もう本当に自分が何をしたらいいのか全く分からない。
体を取り返す…?
…どうすれば取り返せる?取り返せたところで……
暫く泣き続け、空を見ながらぼーっとする。
…本当にこれから、どうしようかなぁ。
「…やっと見つけた。なぁ、俺の声聞こえる…よな?」
770人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零音(プロフ) - ゆずゆさん» 泣いていただけたんですか…?!ありがとうございます…!! (2021年1月19日 23時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
ゆずゆ(プロフ) - 泣いちゃったじゃねぇですかぁ……面白いです。完結おめでとうございます (2021年1月19日 2時) (レス) id: 6e2976f246 (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - ぺ助さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!どんどん妄想膨らませちゃって下さい…!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - まっくろさん» ありがとうございます!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
零音(プロフ) - ぽむさん» 初めて…!?ありがとうございます!続きを検討しておきますね…!! (2021年1月15日 15時) (レス) id: ac8575b88f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ