◆飴42個目 ページ43
「…つーかお前…入学式の日からってマジで言ってんのか。」
二人でベンチに座り、ぎゅっと手を握り合う。
晴れて恋人同士になれたのだからお互い帰る気になんてなれなかったし、家まで送ってくれると言うから喜んで甘える事にした。
…にしても馬狼と恋人繋ぎ出来る日が来るなんて思わなかった。…手汗やばいかも。
「…そーだよ、馬狼は忘れちゃったかもしれないけど。
……あの日…遅刻しそうになってさ、走ってたら転けて、膝擦りむいて…一人で泣きそうになってた時に馬狼が助けてくれたの。」
「あ?覚えてるに決まってんだろ。…つーかあの時お前が遅刻しそうになったのって、迷子の子供を助けてたからだろうが。」
「な、なんで知って…」
「たまたま見てたんだよ。ま、もしお前が急いでる理由が寝坊とかだったら俺は放置してたな。自業自得だ。」
「……そっ、か。……そっか…全部、見られてたんだ…」
「……泣いてる子供の為なら自分が遅刻しても構わねぇなんてお人好し、中々居ねぇだろ。あの時からお前は下民からワンランク上の存在になってた。……そんだけだ。」
「……ッ…ありがと…嬉しい…」
馬狼なりの褒め方なのだろうか。少し照れ臭そうに顔を逸らす姿にキュンときてしまう。
…今まで目で追うだけで精一杯だった馬狼が、これからは彼氏になるんだ。
「あたし…めっちゃ寂しがりだし、常にベタベタくっついてたいし、離れてても電話とかメッセージとかいっぱいしたいタイプなんだけど、それでも良いの……?」
ドキドキしながら訊ねると、馬狼はふ、と笑みを浮かべる。
「上等だ。」
「〜〜〜ッ……!!好き…!」
ここで1つ大事な事を思い出した。
「馬狼、そういえば…サッカー、あたしもテレビで試合観てたんだけどさ…」
「あ?何だよ…観てたのかよ。イエローカードの件なら聞いてやんねぇからな。」
「ふふ、違う違う!」
…改めて言うの、照れるな。
でもさっき馬狼も可愛いって言ってくれたし、あたしもちゃんと伝えないと。
「………い」
「あ?お前、今なんつった?」
「いや、だから…その……サッカーしてる馬狼めちゃカッコイイなって…思った!」
「……………そうかよ」
握り合う手から伝わる熱が心を満たしていく。
馬狼と居る時間はあたしにとって何よりも幸せで、飴玉よりもずっと甘いもの。そんな幸せを出来るだけ長く味わっていたいな。
そんな事を思いながら、あたしは繋いだ手に少しだけ力を込めるのだった。
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39893 - 匿名希望さんのお話、他にも見てるんですが、全部いいお話ばかりです!いつもありがとうございます! (10月18日 22時) (レス) @page50 id: e8da3276d0 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます。スウウウーーーーーッ……まっっじで最後まで最高でした!!!!!!ばち好みの作品で更新の度発狂していました…今までお疲れ様でしたこれからもがんばってください!!!!!!最高でした!! (7月20日 23時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
あげ豆腐(プロフ) - 完結おめでとうございます!!こんなにもいい神作品を見させてくださって本当にありがとうございます!次回作も楽しみに待ってます😊 (7月20日 23時) (レス) @page50 id: 417163fa8e (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望(プロフ) - ぱんぱーすくんさん» 完結しました!ありがとうございます!!😭🙏ツンデレキング、良いですよね…まず公式があざとい…🤝ほぼ自己満になっちゃってましたが、楽しんで頂けたなら良かったです……! (7月14日 9時) (レス) id: 733e983a69 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぱーすくん - 完結おめでとうございます!馬狼くんのツンデレほんっと可愛いです!!!馬狼くんの夢小説かいてるひと少ないの素敵な作品かいてくださってありがとうございました🙇🏻♀️💦 (7月13日 23時) (レス) @page50 id: 3f84d09ede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月18日 1時