▼宿敵 ページ26
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「ちょっと血を使いすぎだね、これ以上吸わせるのは絶対ダメだからね」
『はい、すみません』
「本当に分かってる?」
『、、はい』
武器の状態検査のついでに私の状態検査も行われた。
un:cさんは至って真剣な顔で私に注意した。謝る私に対して、ジト、と疑いの眼差しを向けてくる彼。
申し訳ないとは思っている。けれど、どうしても戦闘中になると力が欲しくなるのだ、。
「とりあえず、検査はこれで終わり。戻っていいよ。」
『ありがとうございました。失礼します、』
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共有スペースのソファに座って、生きている武器を指先でくるくると回していた。
何だか最近ずっとモヤモヤしていて、嫌な予感が拭えない。
この子を使いこなす自信もあまり無いし。
そんなことを考えているとソファの隣が沈み込む感覚がして、隣に視線を移すと副隊長であるうらたさんが腰を下ろしていた。
「考え事か?」
『何か、嫌な予感がして、』
「嗚呼、分かるよ。なんて言えばいいんだろーな、、んーー、」
うーん、とそのまま悩み込む彼は、暫くしてハッとした表情になった。
「手の平で踊らされてる感っつーのかな?」
彼の言葉に酷く納得してしまう。それだ、何者かの手の平で踊らされてる様な、転がされている様な、そんな変な感覚がするのだ。ただの思い込みならいいのだけれど、。
『なんか、最近の吸血鬼の出現の仕方、明らかに変ですよね、』
「本部とも話してんだけど、俺らに原因が分かる訳ねぇんだよな、」
確かにその通りである。私達に吸血鬼側の考えや状況が分かる訳無いのだ。
それなのに、吸血鬼側はまるで私達の考えや状況を理解しているかのようで、それも得体の知れない恐怖の1つである。
「今日強え奴等来たんだろ?俺はまた次も来ると思う」
『私もそう思います、。』
自然と拳に力が入った。必然的に短剣を強く握る形になる。
次はピンク髪の彼奴と闘う事になるかもしれない。
トラウマとまでは行かないけれど、彼は私を弱いと認識させた吸血鬼だ。因縁の相手と言っても過言では無いだろう。
「ま、お前は1人で闘ってる訳じゃねぇんだからさ」
俯いていた私はその言葉でうらたさんの方に顔を向けた。
「な?」と言いながら笑う彼を見て、『そうですね、強い仲間がいて心強いです。』と返す。
彼は皆までは言わなかったが、彼の言いたいことは充分に伝わった。
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とこ(プロフ) - こゆきさん» 嬉しいです、ありがとうございます!遅くなり申し訳ないです、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 11時) (レス) @page50 id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ばななさん» わざわざログインして頂き、嬉しいです、!ありがとうございます。遅くなりましたが、続編もよろしくお願いします。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます、お待たせしてすみませんでした、。 (2022年9月22日 10時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - 続編待ってます… (2022年8月6日 23時) (レス) @page50 id: b05dbfc063 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!普通にハマったw (2022年4月27日 17時) (レス) @page50 id: 405c20d148 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とこ | 作成日時:2021年6月6日 17時