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まふと目を見合わせて溜息をつく。
これもいつもの事だ。
『いっつも私達が起こす係じゃん。先に食堂行ってる人達だって気付いてる筈なんだから偶には起こしてってくれれば良いのに。』
「坂田の爆睡っぷりが僕は羨ましい、、」
そう、私の向かいの部屋は坂田の部屋だ。この建物は吸血鬼特別対策部の人間しかおらず、この階には人体実験されている吸血鬼討伐部隊しかいない。
だからつまり坂田もVSTの一員である。
鍵など着いていない扉を開ければ、まだベッドに横になっている赤髪を見つけた。
「坂田起きてー!」
声を掛けるだけでは起きないということを充分に知っている筈なのに、まふは毎日優しく起こそうとする。
私はそんな優しくないので布団を剥いでデコピンを一発くれてやる。これで彼は100%起きるのだ。
デコピンとは思えない鈍い音がして、彼が眉間に皺を寄せた。
「ゔっ、、いったぁ、」
『はいおはよう、先食堂行ってるからね。』
警察の駒とは言え、一応私達も警察の一員だ。時間厳守であることに変わりはない。
坂田は起きることが苦手だが二度寝して説教されることの怖さを一番知っているので、一度起きれば後は放っておいても問題無い。時間迄には食堂に来る。
まふと一緒に坂田の部屋を出て突き当たりの食堂へと向かった。
『おはよーございまーす。』
「おはようございます。」
長いテーブルの一番奥。所謂誕生日席とでも言えば分かり易いだろうか。そこに腰掛けているのが我等の隊長そらるさん。そして奥から副隊長のうらたさん。その向かいが志麻。その隣にセンラが座っていた。
いつも私達が部屋に入る前に既に食事は用意されている。誰が用意しているのかは知らないが、興味無いので誰でもいい。
席に着いている4人が各々おはようと声を返してくる。
『志麻とセンラさぁ、坂田の隣の部屋なんだから偶には起こしてよ』
「最後に気付いた奴が起こして来ればええやろ。」
「Aは坂田起こしのプロやん。」
『はぁ?それ嬉しくないんだけど、センラ私に喧嘩売ってる?』
「売ってまセーン。」
『よーく分かった、今日出動命令出なかったら鍛錬室集合ね。ボッコボコにする。』
「A席着こうよ。」
既に向かい側に座っていたまふにそう言われ、渋々センラの横に腰を下ろす。
「おはようございまーす。」と先程まで寝ていた彼の声が食堂に響いた。
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とこ(プロフ) - 七星さん» そんな風に言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます!続編もよろしくお願いします (2021年6月6日 17時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - Haoto-ハオトさん» ありがとうございます!嬉しい限りです、 (2021年6月6日 17時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - 瑠海那さん» ありがとうございます、続編もよろしくお願いします! (2021年6月6日 17時) (レス) id: f32dc7a6dd (このIDを非表示/違反報告)
七星 - 久々にこんなに面白い話に出会いました…!!!!!ゆっくりでも良いので続編お待ちしております。 (2021年6月6日 16時) (レス) id: f91053f6f0 (このIDを非表示/違反報告)
Haoto-ハオト(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!続編も頑張ってください!!応援します!! (2021年6月6日 2時) (レス) id: 17268be681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とこ | 作成日時:2020年6月7日 20時