65.違和感[4] ページ16
「ん…朔間？」
朔間と言えば隣のクラスにもいるのだが、親類なのだろうか。
生徒名簿を見たときは特に何も気に留めることもなく2人の名前と顔を暗記したが、確かに似ているような気もしなくもない。
脳内に記憶された朔間の顔と、目の前にある先輩の顔をそれぞれ比較するようにじっくりと見つめた。
「そんなに見つめんでおくれ。嬢ちゃんの眼差しには熱気が込められすぎておるから、吸血鬼には眩し過ぎるのじゃ。」
口調のみならず、言っていることすらもはや理解し難い。
どうして自分はこの訳の分からない人物と会話をしなければならないのだろうか。
葵兄弟に精神消耗をされ続けた後ということもあり、疲労感は募るばかりであったのだが、ふと先輩の溢した一つの単語へ敏感に反応した。
「…吸血鬼？」
普通に生活していればほぼ聞くことのない単語のはずなのだが、転校当初いきなり自称吸血鬼に遭遇し、何故か噛まれたことを思い出す。
そして己を吸血鬼だと謳う先輩に対し、割りかしどうでも良い疑問を投げかけた。
「あの…、つかぬ事を伺いますが、2年に親族の方がいらっしゃいません？」
「凛月のことかえ？我輩のかわゆい弟じゃよ。」
どうでもいい疑問を律儀に明確にしてもらったのだが、それが明確となると同時に『やっぱりな』と呆れ返るしかなかった。
兄弟仲睦まじいのは結構な事だが、よりにもよって2人して吸血鬼と言うのは如何なものか。
「嬢ちゃんは凛月ともう会ったのかのう？」
会うどころか、噛まれて運び運ばれました。
などと会話を掘り下げる気もなく、こくりと頷き肯定する。
すると、何かを考え込むような素振りを見せ黙り込んでしまった。
「…まぁよい。それよりも嬢ちゃんをこの軽音楽部に呼んだ理由なのじゃが。」
勿体ぶるように間を空け、答えを早くと求めたくなる話法。
それにこの口調。
初めて耳にすれば、それこそ違和感や苛立ちを募らせるだけなのだが、よくよく考えてみると相手に冷静さを与えず自分のペースに引きずり込む手段である。
しかし気付くのに遅れてしまい、嫌な予感だけが残った。
「明日行われるS2の後、再びここへ来て欲しいのじゃ。Trickstarと共にな。」
S2とTrickstar。
この2つの単語が出てしまうことにより、完全にペースを掴まれてしまう。
彼は一体何を知っているのだろうか。
得体の知れない妖艶たる吸血鬼の巧みな話術により、悔しいことに焦燥感に駆られた。
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とーこ(プロフ) - あんな負のアンサンブル私だったら絶対に拒否しますね…。夢花さんのツボにジャストしたみたいで良かったです(笑)少しの間真面目な展開が続きますが、ちょいちょいおふざけを挟んでいきますのでよろしくお願いします！ (2018年8月22日 21時) (
レス) id: 519d18fdda (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 負のアンサンブルってそういうことだったのかwwwwww待ってwwwホッケーの発言が面白すぎてお腹痛いwww面白すぎwww最高www続き楽しみにしてまーす！！ (2018年8月22日 8時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とーこ | 作成日時：2018年8月17日 21時
