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片思い。〜蓮巳敬人編〜[4] ページ13

意味を知り、単純過ぎる私は泣いていたことも忘れたかのように表情が歪む。
しかし、それに反するかのように真面目な表情で先輩は今までの気持ちを言葉に紡いだ。

「初めて告白された時は正直本当に困った。アイドルとプロデューサーと言う立場上、恋愛は有り得ないからな。だから断った。」

アイドルとプロデューサー。
訳あってこの学院に編入してきたのだが、最終的にプロデューサー科へ所属を決めたのは己自身だ。
校則に恋愛禁止とは記載されていない。
だが、アイドルとプロデューサーが恋愛など世間からしたら絶好のネタである。
思い立ったら即行動に移す私ですら、頭を抱え悩んだ。

「二度目は素人ながらも、必死に仕事に取り組む姿を見て心が揺らいでいた。だが、やはり世間体を気にして断った。あの時はかなり後悔したんだ。」

この時は返事まで間があったので、少し期待してしまった。
だが結果は同じで、この気持ちを忘れてしまいないとまで思うほど落ち込んだ。
もう、自分には成すすべはないのだろう…と。

「だから休み明けに本当の気持ちを伝えようとした。なのに、英智からお前がグレて金髪にしたと聞いて焦った。自分のせいだと思ったからだ。」

あの時の様態を憶うと、あの慌てぶりは尋常ではなかったが、噂では仕事にヤケをさしてと言うことになっていたはずだ。
どうやら、見当違いの理由を聞かずに教室を飛び出してしまったらしい。
勘違いではあるが、そこまで焦ってきてくれた事が嬉しくも有り、愛おしくもある。

「そんな勘違いするかわいい先輩も大好き!」
「勘違いはお互い様だろ。」

言葉の表面上だけでは得られない意図。
と言えば聞こえが良いのだが、妄想と頭悪さの故の出来事に笑いがこみ上げる。
勿論前者は先輩で、後者は私だ。

「A…。俺はもう後悔したくない。」

まだ日差しの強い中、温くでもからりとした風が吹く。
眼鏡の奥に捉えられる真剣な眼差しから目が離せない。

「付き合ってくれるか?」

三度目にしてやっと実った結果。
少女漫画のように感動的なストーリーではないものの、お互いの気持ちが通じ合った瞬間、目の前の景色が輝いて見えた。
屋上からよそよそしく出てきた姿を色んな人に見られ、付き合った事がバレるのにはそう時間はかからなかった。
そして、同時に蓮巳先輩の魔法少女好きが噂されるのであった。

END

片思い。〜南雲鉄虎編〜[1]→←片思い。〜蓮巳敬人編〜[3]



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設定タグ:あんスタ , あんさんぶるスターズ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:とーこ | 作成日時:2018年7月14日 21時

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