23.封印の地 ページ25
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「山登るの?」
「ちょっとだけね。
大丈夫、小さい山だからすぐ目的地に着くよ」
酒瓶とタバコとそして花束。
珍妙な組み合わせを持ってどんどん木々が多い山の奥へと進んでいく。
そして、、十分ほど歩きたどり着いたのは、樹々と土地が削られ一面見渡せる巨大なクレーターだった。
学校の敷地半分ほどある更地に、二人は言葉を失う。
「ここが、当時の任務地。
そして彼が死んだ場所」
「は??
これが、一級審査任務の後??」
どれだけ膨大な呪力と、破壊的な術式を持てばこうなれるのか。
一級審査にしては、あまりにもこの跡は異常だ。
「違うよ。
審査の対象になる任務ではなかった。
……、審査にはそのものを推薦した呪術師は同行できないからね。
ただ、この山周辺に不審死が多発してそれを調査し払う。
同期の3級呪術師と一級呪術師だった彼。そして準一級呪術師だった私の3人で向かった任務だった」
クレーターを避けて歩いて、さらに奥へと進む。
暫くすれば雨に晒され木が腐りかけた、ボロボロの小さな社が現れた。
みるものには多分わかるはずだ。
コレが、この山の核となる存在だと。
「簡単な任務のはずだった。
………誤算だったのは、ココに《両面宿儺》の指が祀られていたこと」
おそらくそれがこの山周囲を包む結界の要だったのだ。
毒をもって毒を制す。
しかし、長い年月の中宿儺の指自体の封印は
「私たちをこの山で待っていたのは、宿儺の指を取り込んだ呪霊だった」
「それって……、間違いなく特級に分類される案件だろ」
「‥…間が悪かったんだよ。
全ては事故だった。
誰が悪いとかそういうわけじゃない。
その結果、誰かが死んでも。
特級と遭遇して、二人生き残っただけでも奇跡だった」
酒瓶をその土に傾ける。
透き通った色が土に染み込み、それは私の涙の代弁だ。
「宿儺と死んだ奴は相討ちしたのか?」
「違うよ。
彼は私の同級生を庇って死んだ。
呪霊は私が封印したんだ。
その功績をきっかけに私は一級術師に昇格をして、呪物の封印を任されるようになった」
まさに、死闘だった。
圧倒的強者との闘い。
闘いの中、親しい人の死の絶望。
その絶望が、
戦うための呪力を産むのだからもうやってられない。
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時