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1.先輩と後輩 ページ3

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暑い暑い夏の日だ。

寮内は冷房が完備されているけれどそれでも暑い。
いわゆる雰囲気に飲まれるってやつかもしれないけれど、暑くて思わず共有スペースにある冷蔵庫まで部屋を出てアイスをとりに行ってしまった。


丸ごとみかんを凍らせた氷アイスをキャンディーみたくなめてあると、ドアが開いてもあっとした熱気とともに人が入ってくる。



こんなクソ暑いのに、真っ黒の格好をした後輩の1年生、夏油傑くんだった。



「霜宮先輩お疲れ様です。何してるんですか?」


「私は暑さにバテてアイスで涼んでたところ。
夏油くんは、任務帰り?」


「えぇ。こんな暑さじゃまいっちゃいますよね」


「うわー、おつかれさま。頑張った後輩ちゃんにはアイスをプレゼントしてあげる」


座ってたソファーから降りて、冷凍庫から同じアイスを取り出して夏油くんの方へと投げる。

さすがの優等生と名高い夏油くんは淀みなくキャッチした。


「いいんですか?霜宮先輩の私物ですよね?」


「いーよいーよ。私そんなケチ臭くないし。幸先ある若者は甘やかさないとね?」



下手くそなウインクをかますと、ありがとうございますと少しわらってくれた。

さて、私はもう部屋に戻ろうかとした時、ふと思い出す。
先日、この共有の談話室に置いてあった私のDVDが消えていた件についてだ。


「そーだ。ねねね、夏油くん。
この部屋のテレビの隅に積んであったDVDの山知らない??」


まさか放っておいたから先生に捨てられてか??いや、でも私の映画好きは周知のはずだ。


「それなら、悟が部屋に持ってったかもしれません。………あいつ、先輩から借りてたと思ったのに」


後半はよく聞こえなかったが、それよりも知らない名前に首を傾げる。


「悟くん?あーー、その子が噂の五条家の息子さん??」


「えっ、霜宮先輩まだ悟と会ってないんですか?」


「うん。なんか間が悪くてね」


「なら、俺からDVD返すよう言っておきますね」


「ありがと」



食べ終わったアイスの棒をゴミ箱へ投げ捨てて、今度こそ談話室を後にしようとした。

でもドアに手をかけたところで止まって、アイス片手に水場へ向かおうとした夏油くんの方へ振り返る。


「夏油くん、夏油くん。私のこと苗字じゃなくて名前で呼んで。あんまり苗字好きじゃないから、Aってさ」


夏油くんは一瞬目を見開いて、


「A先輩、じゃあ僕のことも傑って呼んでくださいね」


とわらった。



2.先輩と後輩→←Prologue1



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設定タグ:五条悟 , 呪術廻戦   
作品ジャンル:アニメ
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かるうら(プロフ) - 50話分しかなかったはずなのに、今までにないくらいの重量感で恐れ入りました。なんだか第5章くらいまで読んだ気分です。2章に行って参ります! (2020年8月3日 21時) (レス) id: 2c64977e89 (このIDを非表示/違反報告)
サイコロ - 最の高だ…推しが絡んでる… (2020年3月19日 16時) (レス) id: d3e3d1ba1a (このIDを非表示/違反報告)
さとう - とても面白いです!応援してます! (2020年3月9日 19時) (レス) id: 74e459d58c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 吉田さん» いいえ!神様は芥見下々先生です!!!でも、そう思ってくださり嬉しいです (2020年3月6日 22時) (レス) id: b5f5114d16 (このIDを非表示/違反報告)
吉田(プロフ) - 作者様は神でしょうか?( ˘ω˘ ) スヤァ… (2020年3月5日 1時) (レス) id: fb4495920c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺 | 作成日時:2020年1月19日 23時

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