【十五夜】 ページ16
季節企画(もどき)
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横浜に聳え立つ楼閣。
その屋上で見上げる空には、煌々と満月が浮かんでいる。
防止を抑えて、夜空を見上げる。
空には雲一つなく。
星星も輝く今日は______________、十五夜だ。
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柵を越えて、屋上の端に足を宙にブラブラとさせながら少女が月を見上げていた。
その横には、月見には欠かせない団子。
そして、稲穂。
秋の食べ物も備えてある。
「お。
よく見えんじゃねぇか。
確か天気予報は曇だったんだがなぁ________、」
わざとらしく、仰々しく云ってみせると、Aは振り向いて困った顔をした。
『しー、ですよ?』
人差し指を口に当てて苦笑い。
やはり彼女が異能力で雲をどうにかしたらしい。
「何のことだかわからねェ。
_______それより、随分本格的に用意したな」
“それに、用意するには“芒”が足りない”。
そう指摘すると微笑んで彼女は手招きした。
柵に手をかけて飛び越える。
断崖絶壁。
その場所で、腰を下ろした。
『中原さん。
月見とは元来、豊作を祈願。又は収穫を感謝する事に有るんです。
本来ならば稲穂を添えるのが好ましいのですが………。
時期を考え稲穂に似た芒が定着したんですよ?』
それに、団子本来の形も丸じゃないんだとか。
と、薀蓄を語るA。
「へぇ。詳しいもんだな」
『今日みたいな祭事は無下には出来ないんですよ。
……こんな神事も記録し語り継ぐことも、トロイ・メライの役割だと私は思います』
トロイメライは世界最高峰の諜報機関。
それは周知の事実だが、【何故】そんな事をしているのか。原点を俺は知らない。
金だとか、権力だとか。
そんな生ぬるい理由では無いはずだ。
それが理由だったら、世界は今頃大混乱に陥っている。
観測して、記録して。
何処にでもいて、何処にもいない。
_______この場に似合わない、馬鹿げた思考を消した。
『風流ですねぇ』
「アァ。
たまにはこういうのもイイかもな」
二人並んで、月を見る。
月を見るから、月見。
なんて単純明快なのか!
「まっ、タダ眺めるだけもいいが。
___________________________之もいいだろ?」
『はい!』
隠し持っていた徳利を見せてニヤリと笑う。
Aが頬を赤くして笑った。
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【十五夜】
(月見酒ってのもイイだろ?)
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朱鷺(プロフ) - 慊さん» 毎度コメントありがとうございます。頑張ります! (2016年9月9日 21時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
慊(プロフ) - 大成功でしたね!これからも更新楽しみに待ってます!頑張ってください! (2016年9月7日 20時) (レス) id: d38973eca7 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - 慊さん» この曲を聴いてる時に、この話の原点。『そうだ、原作にはないもう一つの組織勢力を作ろう』と思ったんです。しっくりしたと思われたのが、私が思ったことが伝わったようで凄く嬉しいです。有難うございます (2016年9月5日 21時) (レス) id: 4dc04444c1 (このIDを非表示/違反報告)
慊(プロフ) - 曲からこの話を作ったのかも知れませんけどこの話のためにあるような曲ですね!すごくしっくり来ます。 (2016年9月3日 19時) (レス) id: d38973eca7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年9月1日 21時