【文スト】百鬼ノ図と隣人【弐】

【異能と私】 ページ9

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中原さんは動物園の帰りも本部で仕事があるらしい。


昼間にできなくて、夜に出来る仕事………。
まぁ、大体は予想がつく。



そびえ立つ楼閣に向かう中原さんと別れて、私は１人マンションに帰ってきた。






『ただいまー……………、ぅわッ！』






靴を脱いで、玄関の段差で転ぶ。



………、何故今日はこんなに転ぶのか。
ぶつけた膝をさすってリビングに向かう。





『朝は平気だったんだけどなぁ』





動物園で友達を作るだけといっても、コレは仕事だったのに。
普段とあまりにも違うから気が抜けたのかな………。




はぁー。とため息が出た。





暗い室内の電気をつけようと、壁のスイッチに手をかけた。




『_____あれ？』




スカッ、と押したつもりが手が手前にかする。



………疲れが出たのかな？



そう思いながら、真っ暗の室内の電気のスイッチを押した。



今日は友達がたくさん出来た。
少し周りから変な人を見るような目で見られたけど気にしない。






『__________、あ』







ふと、そこで気がついた。




何故、私は何も見えない室内の中で、電気のスイッチがどこにあるかわかったのだろう？


私の部屋は暗闇の中で光るようになっていない。



何時も四苦八苦しながら、手をさ迷わせてスイッチを探すのだ。








『そっか、…………。
そうだったんだ』






私の異能の正体は。




平行感覚が無くなって転ぶのも。



距離感覚がなくなってモノを取れないのも。



暗い室内の中で目が見えるのも。









__________全ては繋がっている。


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