検索窓
今日:6 hit、昨日:30 hit、合計:590,864 hit

【忘却の誓.弐】 ページ48

_



中原中也は格好良い。

それはものを投げたら下に落ちるように、息を止めたら苦しくなるように、人は死に向かうように、余りにも当然のこと。


中原中也は土佐Aにとっての正義なのだから。









“あぁ、そろそろ戻らないと”




梳いていた髪が、手からこぼれ落ちた。
それに寂しさを覚えて、視線をさ迷わせる。




「………なァ、A」



『何ですか?中原さん』




やけに真剣な面持ちをした中原さんに、どきっとする。
間近で中原さんを見つめて、場違いながら改めてカッコイイなぁと再確認した。




「忘れるな」



『何をです?』



「手前の騎士は俺だ。


昔の手前なんざ知ったこっちゃねェが、今、手前が背を預けて闘ってンのは俺だろ。

_________________土佐 Aはポートマフィアの幹部で、俺の相棒だ」



『_________ッ』





息を呑んだ。
簡単な言葉のはずなのに、理解するのに時間がかかって慌てて下を向く。

あぁ、ヤバイ。多分、今私真っ赤だ。




『ら、らしくないですよ。中原さん!』



「俺もそう思う。が、手前のそう云う顔が見れんならまたには良いかもな」




『うぅっ……』




にやにや笑う中原さんに頭を撫でられた。
あぁ、くそぅ。
笑う中原さん可愛いな……、じゃなくてなんてこと言って呉れるんだ!




『狡いなぁ』


「はっ、ほざけっ」





鼻で笑う中原さんに苦笑する。




「俺の背中も預けるんだ。
臆するなよ?」



『ふふ。
心地好くて、もたれかかってしまいそうです』



「そんなモン、重荷にはなんねェよ」




『そうでした。
中原さんは重さとは無縁ですからね。

_________そうだ。折角ですしアレしますか?』



「ん………?」



『少し、動かないでくださいね』







裾を払って、その場で片膝を付いた。
右手を胸にスっと左手を出し中原さんの左手をとる。
それは妙に様になっていて、中世の騎士を思いおこさせる。


そっと、手の甲に口付けを落とす。


突然の奇行に目を見開く中原さんを見上げた。





告げる(set)

汝の運命は我が剣に。
汝が死に向かう其時まで、我が運命は汝の剣に。



宜しくお願いします。私の騎士さん』





まだ赤い顔でふわりと微笑んだ。
それは一つの儀式であり、呪いであり。


____只のママゴト。







「_________、それ立場逆だろ」






中原さんは“男として立つ瀬がねェ”と、カラカラ笑った。
_
【忘却の誓.弐】

この小説の続きへ→←【忘却の誓.壱】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (474 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1164人がお気に入り
設定タグ:文スト , ほのぼの系 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暁郗 - イヴアールって何ですか?馬鹿ですみません…… (2021年1月17日 15時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - シャロンさん» うおぅ。変換ミスすみません。ありがとうございます (2016年9月16日 20時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
シャロン(プロフ) - 重厚ではなく銃口ではないですか? (2016年9月16日 20時) (レス) id: c0512120b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 朱鷺さん» 日頃から自由人の彼にはいい罰ですねww (2016年8月30日 18時) (レス) id: 071c21dacc (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ひよこリュナさん» 本編でセリフゼロは可愛そうかなと思いましてwwwオマケで枠外扱いですw (2016年8月28日 20時) (レス) id: 4dc04444c1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年7月22日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。