【忠告と警告と愛.壱】 ページ45
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閉された扉を見る。
追い出されて、私だけ蚊帳の外。
中でどんな会話がされるか、気にならないわけでもないけど。
『………余計な事、云わないと良いけど』
独り言を聞いた、扉の前に立つ警備の人が首を傾げる。
やってしまったと、私は苦笑いをした。
『(気を付けて下さいよ、林太郎さん。
安藤くんを怒らせて、血の海を作るなんて馬鹿な事は辞めてください…………)』
強いにも、種類がある。
その一種で云えば、間違いなく安藤くんは最強の異能者だ。
心の中で呟き、踵を返す。
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「………矢張り、Aさんは可愛いですよね」
去っていくAの後ろ姿を見て、安藤が呟いた。
羨望の眼差しで微笑むその顔は、慈愛だとか親愛だとか諸々ひっくるめたような_______。
「Aちゃんは可愛いよ。確に可愛い。
……(エリスちゃんには劣るけど。)
けど、そんな話をする為に彼女を追い出した訳では無いだろ?」
「あぁ、すみません。
話がまた脱線しかけるところだった」
茶髪をかいてはにかむ青年。
一呼吸おいて、_______目から感情が消えた。
「_________ッ」
発言はせずとも、後ろで控えていた幹部、中也は息を飲んだ。
この感じはそう………、あの男イヴアールと同じもの。
冷たく鋭利に研がされた彼を取り巻く空気。
優男に見えても、本質は同じらしい。
「この対ギルド戦に関して、僕は………、否、俺達はAさんに関わって欲しくなかったんですよ」
「………今日の様子だと、本人が否定したようだね」
「えぇ、悔しい事に。
一旦ポートマフィアへの派遣を凍結して戻ってこいとは云ったんですが………、どうやら心残りがある様で」
淡白に感情を込めず云い切り、チラリと中也を見た。
が、さっとすぐに逸らされる。
「“トロイ・メライ”は同情の余地がないぐらい極悪非道で救いようが無く万人が万人“悪”と極め付ける組織ですが___________、仲間意識だけは高いんです」
無表情だった顔が、にこりと微笑む。
笑いながら温かみのない目が、この先云うことを悟らせた。
つまり彼等は、土佐Aを悲しませたく無いだけなのだと。
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【忠告と警告と愛.壱】
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暁郗 - イヴアールって何ですか?馬鹿ですみません…… (2021年1月17日 15時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - シャロンさん» うおぅ。変換ミスすみません。ありがとうございます (2016年9月16日 20時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
シャロン(プロフ) - 重厚ではなく銃口ではないですか? (2016年9月16日 20時) (レス) id: c0512120b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 朱鷺さん» 日頃から自由人の彼にはいい罰ですねww (2016年8月30日 18時) (レス) id: 071c21dacc (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ひよこリュナさん» 本編でセリフゼロは可愛そうかなと思いましてwwwオマケで枠外扱いですw (2016年8月28日 20時) (レス) id: 4dc04444c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年7月22日 19時