【私が君を殺す時】 ページ38
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中原さんの執務室のソファーで膝を抱える。
この部屋の本人は始末書を書いているようで、遊びに来たのに手持ち無沙汰。
「_____うかねェー顔してんな」
『んー。
すみません、久しぶりの再会なのに』
「それは後で埋め合わせするからいいさ。
で?
如何した?
これでも先輩だからな。自分の弟子の悩みぐらいは聞いてやるぜ」
『凄く、馬鹿らしい話ですよ?』
それでも、頷いた中原さんに一瞬迷う。
ただでさえ太宰さんのせいで機嫌が悪い中原さんに、話していい内容なのか。
けれど、………私の師が彼であるのは間違いないわけで。
『………マフィアの構成員になって、多くの人を殺したんです。
幾人もの死に顔を見てきました。
それで思ったんです。
林太郎さんからの命令があったら、私は太宰さんを殺すんだろうと。
それと同時に、社長________我が“王”から命令があれば、私はポートマフィアを潰す』
組織のトップの言葉は絶対。
私たちは、消して逆らうことは出来ない。
その時が来たら、私は今いる場所を血溜まりにして、屍の山を築く。
「……は?
お前が、ポートマフィアを?
そりゃぁ、無理だろ」
『______出来ますよ。
文明と利便を捨てない限り。私はポートマフィアを潰せる』
情報化が進行する世界で、
敗北など有り得ない。
「言い切るじゃねェか。
ま、Aには無理だろうよ。
その心配は捨てろ」
『へ?』
呆れたように見やる中原さん。
「…………何だよその疑いの目は。
お前は身内を殺すには優しすぎんだろ」
『____何を根拠にそんな事を』
「あのなぁ………。
抑、そう云う疑問を持つ奴は決まって他人の命を尊重できる優しいヤツだ。
あぁ、言い切ってやるさ。
Aは俺を殺せねェ。
何があっても、
絶対に。
例えお前が世界を敵に回せても、
それだけは絶対に出来ない」
『_________、』
全く。
何処からそんなに自身が湧いてくるのか。
私の事を何一つ理解していないのに。
なのに何故か、
その言葉は呪いのように私に染み込むのだ。
“Aは中原中也を殺せない”
あぁ、まったくもってその通りだ。
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【私が君を殺す時】
(………狡い。何処からそんな信頼が湧き出るのか)
(中原さんには適わないなぁ)
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暁郗 - イヴアールって何ですか?馬鹿ですみません…… (2021年1月17日 15時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - シャロンさん» うおぅ。変換ミスすみません。ありがとうございます (2016年9月16日 20時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
シャロン(プロフ) - 重厚ではなく銃口ではないですか? (2016年9月16日 20時) (レス) id: c0512120b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 朱鷺さん» 日頃から自由人の彼にはいい罰ですねww (2016年8月30日 18時) (レス) id: 071c21dacc (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ひよこリュナさん» 本編でセリフゼロは可愛そうかなと思いましてwwwオマケで枠外扱いですw (2016年8月28日 20時) (レス) id: 4dc04444c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年7月22日 19時