検索窓
今日:28 hit、昨日:2 hit、合計:590,856 hit

【大空を飛ぶ.壱】 ページ22

_




『口調が戻った、かぁー。
気をつけないとなぁ』




公私混同はしない。

硬く、冷たい印象を持たせる敬語は、普段の私ではなくマフィアの幹部であるために必要なもの。



要はスイッチの切り替えだ。





「“カァー、カァー、カァー”」



『ん、わかった。
もう、行っていいよ』





鳥に太宰さんの居場所を探ってもらった。
お礼のパンを受け取ると、私の肩から飛び立つ。





『んじゃ、ひと狩り行きますか!』






黒の楼閣の屋上で、私は街を見下ろす。

鷹の目よりも上をいく、一種の魔眼に近いものもなった私の目は、数キロ先を見詰めて、



柵のない、屋上の縁に足をかける。





私は躊躇無く、もう一歩踏み出し、





______________空中へと身を擲った。






____________________
______________
________





今回は私の独断で動く。
泉鏡花に与えられた仕事。それを私がかっさらうのを首領に見つかる前に遂行しなければいけない。




一番の難所は楼閣の彼方此方にある監視カメラ。
それに映らないで抜け出す方法は2つある。




1つは、非常口を兼ねた裏道。


そこは地下から地上に繋がっている。私もすべてを把握していないほど(全部知ってるのは林太郎さんぐらいだろう)ショートカットやそういう類の廊下はこの楼閣には多いらしい。
正規の方法で通らないと警報が鳴るけど………。





もう1つは、空から脱出する事。

屋上から飛び降りて、離れたところに着地すればいい。




________まぁ、こんなことが出来るのは私が中原さんぐらいだけど……。









旋風を操り、楼閣から少し離れた建物の屋上に降りた私。
そこから更に、建物の裏の裏道に飛び降りて何事も無かったかのように、大通りに出る。





『去て、ここら辺と聞いたけど………』





辺りをぐるりと見渡しても居ない。
時間がかかったから、もう別のとおりに移動したのだろうか。



砂色のコートを着て長身の人だから見逃すことは無いだろうし。





『うーむ。どうしたものか………』






しばらく悩んだ挙句、胸元から紐につながれた笛を取り出す。



口にくわえ、音のならないそれを私は思いっきり吹いた。








その音に応えるように、



大きな鷲が私の頭上を舞う。
_
【大空を飛ぶ.壱】

【大空を飛ぶ.弐】→←【羅生門の頼み事】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (474 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1164人がお気に入り
設定タグ:文スト , ほのぼの系 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暁郗 - イヴアールって何ですか?馬鹿ですみません…… (2021年1月17日 15時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - シャロンさん» うおぅ。変換ミスすみません。ありがとうございます (2016年9月16日 20時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
シャロン(プロフ) - 重厚ではなく銃口ではないですか? (2016年9月16日 20時) (レス) id: c0512120b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 朱鷺さん» 日頃から自由人の彼にはいい罰ですねww (2016年8月30日 18時) (レス) id: 071c21dacc (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ひよこリュナさん» 本編でセリフゼロは可愛そうかなと思いましてwwwオマケで枠外扱いですw (2016年8月28日 20時) (レス) id: 4dc04444c1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年7月22日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。