【文スト】百鬼ノ図と隣人【弐】

【向き不向き】 ページ19

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コツコツと無機質なろうかに響く私の靴音。





【非道こそ是であり、ましてや真正面からぶつかるなど愚の骨頂】





何故、私の口からそんな言葉が出たのかがわからない。


非道とは人としての在り方生き方、人道に外れていることを云うらしい。



私はある人に云われたことがある。





【外道ではあるが非道ではない。
悪人ではあるが悪党ではない。

だが、無知では在れない哀れな小娘】





そう。
私は非道ではない。
ポートマフィアと云う悪性を抱えた場所に居ながらも、私は非道にはなれなかった。


しかしそれ以上に、私はもとより外道だ。
在り方自体が歪んでいる。




そんな私は他人に非道であれといったのだ。


息をするかのように。

自然に。

それが正しいと疑わず。





底なし沼に引きずり込まれている気分だ。
すっかり、私も黒に染まったらしい………。



此処に置いて、“何が正しいか”がわかるようになっていしまったのだから。





『………何時までついてくるつもりですか。
ここから先は立入禁止区域ですよ』





ある扉の前で止まった。



心を殺した声は、酷く冷たい。
自分でもどこから出しているかわからないほどで、私がゾッとする。





『伝え漏れでもありましたか？

_____________________________樋口さん』




ゆっくりと振り返える。

視線の先には靴を手に持った樋口さんがいた。




「_____________ッ！」




『………靴を脱ぎ足音を消そうとしたようですが、私の異能には意味がありませんよ。

あなたの存在自体が、そこに在るという証明となるのだから』




呼吸音ですら、私の耳に入り人の存在証明となり得る。
視界などもはや関係はない。




「………いえ、なんでもありません。土佐幹部」



『……………。』




仕方がない事だ。
マフィアであるいぜんに、【トロイ】の構成員である事は公にしていない。



恨まれるのは、仕方が無いのだ。





私は一つ。目を伏せた。



【トロイ】は世界最高峰の諜報機関。

そこから派遣社員を雇うなど、万人が万人理解し同意できるものではないと自負している。





私は樋口さんを置いて、私は扉の中に入った。
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【向き不向き】

きれいさんが元ネタ

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