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【愚者と叡智者.弐】 ページ17

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気が付かないはずがない。



私がマフィアの構成員になった初期から、ソレには気が付いていた。




隠蔽され、改竄されたファイルの数々。
ソレはあるリストも同じだった。

そしてソレは、“1人のもの”ではない。




情報の大海原に、残留だけが漂う。


己の性分なのか。

誰かが巧みに隠したその秘密を。








___________ソレを復元したくなるのは…………。






『余程………、私にも分からないほど深い闇に身を潜めたのでしょうか。


ソレだけの才があるのに、擲ってまで成したかったナニカを見つけた。

いまの私には_____________複雑な気分です。』




コレの秘密は墓まで持ってくと、御旗に誓おう。尊敬の念を持ち、口を閉ざすと。



その経緯が何であれと、彼の、太宰さんの今成している事は、間違ってはいないのだから。





「叡智者であり愚者である。

………今の君にはそれが正しいことか悪手であったかは判断はつかまい。


闇から抜け出し、光を手にした彼が羨ましいかい?」




………太宰さんはかつての私だ。

マフィアに入る前の私。



米国にあった本部の闇から抜け出し、
高校生という一時の…………、またたきをするような甘美で光に溢れた時間の夢を見ていたかつての私。




羨ましくないといえば、嘘になる。




『______いいえ。





私は、

円卓に議席を持った以上、あとには引けないのです。
トロイ・メライと云う悪の組織の中、中枢を成す人柱の私は社長に御心を捧げた。


光など、私が鉄弾に身体を貫かれた瞬間から求めてなどいません』





今でも忘れない、あの転換期の日。
私の運命は定まった。


悪に身を置いても、ヨコハマに身を留めると。



お義父さんに誓ったのだ。




「その強さは君の美点だ。
同時に弱さでもある」




『解っています。
それでも、曲げたくないから人は苦しむのです』




ノーパソを閉じる。

紅茶を飲み干し、帰り支度を始めた。






「行くのかい?」



『真逆。
医療車を手配しに行ってきます』




「それは“借り”を返すためかい?」




『………諜報員としての仕事です』





乱暴にコードなどをアタッシュケースに詰め込んだ。
何故、私はこんなにイラついているのか。






“失礼します”






締まった扉にホット息をはく。





『………胸糞悪い』





思わず出た言葉は、暗く重い。
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【愚者と叡智者.弐】
(……前言撤回。私と太宰さんが似てるなんて考えたくも無いです)

【出迎えと羅生門】→←【愚者と叡智者.壱】



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設定タグ:文スト , ほのぼの系 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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暁郗 - イヴアールって何ですか?馬鹿ですみません…… (2021年1月17日 15時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - シャロンさん» うおぅ。変換ミスすみません。ありがとうございます (2016年9月16日 20時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
シャロン(プロフ) - 重厚ではなく銃口ではないですか? (2016年9月16日 20時) (レス) id: c0512120b1 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこリュナ(プロフ) - 朱鷺さん» 日頃から自由人の彼にはいい罰ですねww (2016年8月30日 18時) (レス) id: 071c21dacc (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ひよこリュナさん» 本編でセリフゼロは可愛そうかなと思いましてwwwオマケで枠外扱いですw (2016年8月28日 20時) (レス) id: 4dc04444c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年7月22日 19時

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