【黄昏の交差点.弐】 ページ34
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グルグルと頭が回る。
私の脳は、入ってきた情報を淡々と整理するのだ。
一つ目。
私が見た、赤。
そして今も感じる鉄の匂い。
私がぶつかった男の変わりに拳銃で打たれ事。
黒服の集団。
そして、中原中也さん。
=彼らは、白昼堂々とマフィア屋さんの仕事として逃げた男を殺そうとしている。
罪状は知らない。
二つ目。
中原さんの発した言葉。
“コイツはボスの知人“
私は当たり前ながらマフィアとの交流はない。
幹部である中原さんと個人的な交流はあるけれど。
=中原さんが私を巻き込まないように云った、デマ。
or
私が知らないだけで、ポートマフィアのボスと私には交流があった。
or
ポートマフィアが私の職場【トロイメライ】の客である。
___________だめだ。
一つ目はともかく二つ目は根拠が何一つない。
それに、同意味合いをとっても
中原さんが私を助けたことには代わりはないのだから。
目の前は、相変わらず真っ暗だ。
「テメェらは先にあの男を追っていろ。
あの怪我だ。
そう遠くには行ってねェ。
俺はコイツを送ってくる」
その中原さんの言葉に、彼の部下がなんて答えたかも分からない。
ただ、彼が軽く肩を抱いたのはわかった。
目隠しのまま彼に手をひかれて、私は歩く。
_______________
__________
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何回か、曲がり角を曲がった。
そこで私は漸く被っていた外套を外す。
不機嫌な中原さんの顔が見えた。
『すみません、中原さん』
「………見ちまったモンはしょうがねェよ」
ちらりと私を見て、彼は歩く。
その後に私も。
聞きたいことも沢山あって。
言いたいことも沢山あって。
それが混ざりあって言葉ではないものが生まれる。
『ありがとうございます』
「……ンあ?」
『……銃弾から守ってくれましたから。
あの瞬間。
たしかに私は死んでいた』
「それも、過ぎたことだ」
中原さんが、立ち止まった。
振り向いて私と向かい合う。
彼の後には、日が当たる大きな通りが見えた。
「お前には、日の下が似合う。
俺みてェに、日陰の暗がりに。夜に暗夜する道じゃない。
陽を浴びて笑えよ」
手を引っ張られて、私は路地の出口に立つ。
寂しそうな、悲しそうな中原さん。
彼にとん、と背中を押され、私は日向に足を踏み出した。
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【黄昏の交差点.弐】
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暁郗 - 待って、どうしよう。夢主ちゃんのパパンがドチャクソタイプなんだが。素晴らしい作品を有難う御座います。 (2021年1月17日 14時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
みう - BSでアニメ始まりますね!!!! (2019年3月21日 14時) (レス) id: 40cf893d3e (このIDを非表示/違反報告)
こっこ(プロフ) - fateも問題児シリーズもデュラララも大好きです!!趣味が合う……嬉しい…… (2017年11月13日 20時) (レス) id: 076e874b86 (このIDを非表示/違反報告)
夜生(プロフ) - お隣さんと丈比べの最後のほうなんですけど、「かいせぬ」って漢字で「解せぬ」って書きますか?それなら読み方は「げせぬ」ですよ。 (2017年5月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 1ec733863c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ユウキさん» 返信遅れてスミマセン!!fate好きな人がいて嬉しいです!身近にいないもので….。エドモン君みたいなドロドロの復讐話(後半戦)になるか(占ツク的に成れるのか)分かりませんが頑張ります! (2016年10月14日 20時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年6月5日 15時