【黄昏の交差点.壱】 ページ33
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迷子の犬を拾った。
柴犬だ。
まぁ、品種などどうでもいい。
「わフッ、ワンッ!」
『あーもー。わかってるから吠えないで下さい』
赤い首輪がついたワンコは、私の先頭を歩いて自らの主を探していた。
今日は晴天なり。
正に雲一つ無い。
穏やかな風がゆるゆると吹き、強すぎない日差しは眠気を誘う。
本当ならば、草原で昼寝をしたいような日。
依頼が終わって、一段落した私の休日が真逆迷子の犬の世話になるとは…………。
捨て置けない私の質が悪いんだろうけど……。
そう。
今は昼間なのだ。
こういう日は、この街に蔓延る“ポートマフィア”なるモノは活動が弱まるらしい、とニュースでやっていた。
だから、日陰を求め私は自然に裏道と言える細い通りを通る。
『この通りをもう少し歩いたらキミが普段散歩するという公園につくはずです』
「わんっ」
ビルトビルの間に挟まれたこの道の、曲がり角を指で指した。
そして、差し掛かった時に________
「_______________ヴゥーーーーヴ!!」
『____なッ!?』
(あれ?………デジャヴ!?)
犬が吠える。
前から走ってきた、男の人にぶつかって尻もちをついた。
その次に感じたのは、【鉄】の匂い。
顔を上げ見たものは_____________自分に向けられる【黒い塊】。
『_________ぅぁッ』
そしてそれは、鈍い音を立てて火を吐いた。
____________________
_______________
________
「チッ」
聞こえてきた舌打ちに、閉じていた目を開いた。
最初に目に映ったのは、手。
大きな手のひらが、私を守るように開かれていた。
そして、その手の持ち主の背中。
黒づくめで外套を羽織り帽子をかぶった。
そのさらに奥に見えたのは、赤と黒服の男たち。
『な………、なかは_______んン!?』
背中に向けて、名前を呼ぼうとしたら出されていた手の平で口を塞がれる。
もう片方の片手で、中原さんが着ていた外套を器用に私の頭から被せた。
そして、両手で私の耳を外套の上から塞ぐ。
「テメェら!!
コイツはボスの知人だ。
死んでも手を出すんじゃねェぞ!!!」
耳元で聞こえる中原さんの声は聞き取れるけれど、おそらく部下であろう黒服さんの声は聞こえなかった。
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【黄昏の交差点.壱】
(仕事をしている中原さんがカッコイイと思ったのは内緒だ)
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暁郗 - 待って、どうしよう。夢主ちゃんのパパンがドチャクソタイプなんだが。素晴らしい作品を有難う御座います。 (2021年1月17日 14時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
みう - BSでアニメ始まりますね!!!! (2019年3月21日 14時) (レス) id: 40cf893d3e (このIDを非表示/違反報告)
こっこ(プロフ) - fateも問題児シリーズもデュラララも大好きです!!趣味が合う……嬉しい…… (2017年11月13日 20時) (レス) id: 076e874b86 (このIDを非表示/違反報告)
夜生(プロフ) - お隣さんと丈比べの最後のほうなんですけど、「かいせぬ」って漢字で「解せぬ」って書きますか?それなら読み方は「げせぬ」ですよ。 (2017年5月4日 23時) (携帯から) (レス) id: 1ec733863c (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺(プロフ) - ユウキさん» 返信遅れてスミマセン!!fate好きな人がいて嬉しいです!身近にいないもので….。エドモン君みたいなドロドロの復讐話(後半戦)になるか(占ツク的に成れるのか)分かりませんが頑張ります! (2016年10月14日 20時) (レス) id: 27d4bf92b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺 | 作成日時:2016年6月5日 15時