【文スト】百鬼ノ図と隣人【壱】

【幸せと仕合せの違い】 ページ29

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中原さんのお家で早めの朝食を頂いた。



スクランブルエッグにウインナー、軽いサラダと食パンと軽いもの。
だけど、徹夜明けの身体には重くなく、くどくなくちょうど良かった。



中原さんも今日は非番だというので、リビングでテレビを見ながら談笑した。


けれど徹夜明けは二人とも同じで、いつの間にかソファーで微睡みに身を任せていた。



二人の寝息が響く。



穏やかな、陽だまりの午前。



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夢を見ていた。


それは、どうしよもなく夢だ。



私は“幸せ”と“仕合せ”の違いを知っている。

私のお義父さんは、私に“幸せ”を与えるけれど“仕合せ”はくれない。





けれど、初めて“仕合せ”を知ったのだ。




元より、悪から生まれた身。

煉獄を裸足で歩く私は、御旗を掲げ哭く。




今日も今日とても私は、仕合せという曖昧なものに縋るのだ。



明日も、


明後日も、


来年も。


こんな日が続けばいいと。



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優しく、誰かに頭撫でられた。

心地の良いリズムで繰り返されて、意識の覚醒しない私はその手にすり寄る。



そしたら、頭上でクスクスと笑う声がした。



ノロりとまぶたを開けようとしたら、優しく塞がれた。
耳元で甘く“まだ、寝ていろ”と云う声に逆らえなくて考えることを辞めた。


感じる温もりに安心しながら、私はまた眠りにつく____________________







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パチリと目を覚ます。


すっきりした思考で、最初に目に入ったのは本。
頭上に本が開かれていて、その奥には中原さんの顔が見えた。




今の自分の状況にパチくりする。



え？

何これ………、


確か中原さんと一緒に寝ちゃって？

丁寧にブランケットまでかけられていて、……いや、でも此処ソファー………。


て、え？！


ひ、ひ、膝……ひざ枕！？！？



起きがけにショートしそうな私に気づいた中原さんは、読んでいた本を閉じて私の顔を覗いた。



「起きたか、A」


『は、…はい。オハヨウゴザイマス』




誰かゆでダコ状態の私を助けて下さい。
羞恥で今にも泣きそうデス。


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【幸せと仕合せの違い】

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