【文スト】百鬼ノ図と隣人【壱】

【隣人は“中原さん”】 ページ2

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「おい。こんな時間にどこに行くんだ？」




サンダルをはいて玄関を開けたら、ちょうどお隣さんがいた。

はて？と首をかしげる。
そんなに遅い時間だろうか？


抑(そもそも)私はもう、社会人だ。

立派に一人暮らしもしている。




「阿呆か。１７の小娘がなに云ってる」



『あうっ』



デコピンされた。何故に………。

勿論手加減しているが大袈裟に額を擦ってやる。




『てか、何で分かったんですか？

心読んだの？

エスパーなの？！』




「お前の顔みたら誰だって分かるわ、阿呆」




阿呆……、二回も言われた。
呆れられるし。
ため息をはかれるとは心外な。



『………猫の集会に行ってくるんです。
トビ三毛さんからご招待を頂いているので』




隣人だけなはずなのに何かと世話を焼いてくるお隣さん。

少し聞くづしているけど、礼服を着ている姿はお世辞にもかっこよくてトレードマークらしき帽子もお洒落だ。


酒癖が悪いのがたまに傷だけど。



そんな彼は、




『ついてきますか？
可愛い猫ちゃんが沢山いますよ？』



「……丁度コンビニに用事があるんだ。
送迎ぐらいはしてやる」




なんだかんだ云ってイイ隣人さんだ。

決してストーカーとかそういうのではない。
とある事件………、という程でもないかどそれ以来恩を感じているのかなんなのか…………。




『そうですか。
そういう事にしておいてやります』



「んだと？ガキ」



『気づかないふりって大変なんですよ？

無理な嘘はつかないのが、世の中を歩く定石なのです』



「…………。」



不貞腐れたようにふいっ、とそっぽを向く。
小さな隣人さんは前を歩いていってしまった。




けれど、振り返って私がついてきているか確かめるのだ。



「A、行くぞ」



『はい、中原さん』



パタパタと、マンションの廊下を歩く。


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