No.08 個性なし ページ8
＊
「かっちゃんのこせー、すげー！」
「とても強い“個性”ね！ 勝己くん」
Aの友達第一号である爆豪勝己に、爆破という異能が発現した。
Aは生まれつき異形型の異能をもっているが、大抵の者は四歳前後に発現する。勝己もその一人である。
この保育園にいるAの同い年の子達は皆、“個性”と呼ばれる異能が既に発現していた。
ただ、一人を除いて。
「いずくって、こせーないらしいぞ」
「ムコセーっていうんだって！」
「だっせー！」
Aの友達第二号である緑谷出久。同い年の子達の中で、誰よりも異能の発現を楽しみにしていた男の子。
どうやら、彼は異能をもたない無個性らしかった。
「……」
「あ、い、いずくくん……」
出久は己が無個性と知り、大きなショックを受け、病院で検査をした翌日の保育園では一日中ぼーっとしていた。Aは必死に慰めようとするが、何をしても無反応だった。
それもそのはず、出久はヒーローという職業に強い憧れを抱いていたからだ。
ヒーローというのは災害や敵から人々を守る職業である。それはとても過酷なことで、異能なしでは成り立たないと言っていい。
つまり、出久のように異能をもたない者はヒーローに向かない。なれたとしても、人々を守り抜き、活躍することは極めて難しいということ。
出久は、絶望の中にいるのだ。
どうにか声をかけてやりたいAだが、あいにくの口下手である。それに、“きっと出久はヒーローになれない”と心のどこかで彼の夢を諦めてしまった。
Aは出久に、声をかけられずにいた。
* * *
「なあ、デク！ おまえってムコセーなんだろ？ オレしってるぜ。ムコセーはヒーローになれねーんだぞ！」
「か、かつきくん！」
勝己が出久にそんなことを言った。
「！ ……」
出久は否定するでもなく、ただ静かに表情を翳していく。もしかしたら彼は、既に自分でも諦めてしまったのかもしれない。
しかし、その小さな手は強く握り締められていた。
「ムコセーのデク、だっせー!!」
出久の様子をうかがうこともなく、勝己はただ思うことを口に出し、笑う。
出久の手は、白かった。
そんな時である。
「いずくくんは、ださくなんかないよ！」
Aが出久を後ろに勝己へ叫んだのだ。
「っ!?」
人見知りで口下手なA。そんな彼女が見せた初めての姿に、2人は驚きを隠せなかった。
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サブとバラ(プロフ) - １ちゃん様、うなﾁｬ様、麗紅花様。レスを長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。コメントしてくださり、本当にありがとうございます！そろそろ更新を再開する予定でございます。そのときには、また応援していただければ幸いです。 (2021年3月24日 22時) (
レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。あなたが書いた小説を読んで最高でした。何よりも可愛らしくて、微笑ましくて、同時にちょっぴり切なくて良かったと思いました!続き、楽しみに待っています。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
うなﾁｬ - 面白かったです。楽しみに待ってます() (2020年6月21日 21時) (レス) id: 6b728aedaa (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - とっても面白かったです!更新よろしくお願いします! (2020年5月24日 12時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - いえいえ！！私も早まったコメントをしてしまい、申し訳ございません！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ | 作成日時：2020年4月23日 23時
