No.07 また今度 ページ7
＊
「毎日は遊びに来られないけど、休日ならまた同じ時間に来られるから。どうかな？」
焦凍の母の気持ちを知ってか知らずか、Aの父はAにとっても焦凍にとっても良い道を提示した。
せっかくできた友達なのに、もう会えないのはとても切ない。
「焦凍……」
「……おかあさん。ぼく……」
「分かったわ」
焦凍の母は優しく笑って自身の息子の頭をゆっくりと撫ぜた。
「ぼ、ぼく……またいっしょにあそびたい、です」
「……うん。じゃあ、また来週の同じ時間にね、焦凍君」
「は、はい！」
「ありがとうございます、兎々丸さん」
「いえ、Aのためでもありますから」
「わたし、たのしみにしてるね！」
「ぼくも！」
また会うことができるとわかったAと焦凍は寂しそうな面持ちから一変、嬉しそうな表情になる。今日のように、また二人で遊ぶことができると。
そんな二人の様子を確認した親達は安堵した。
「じゃあ、そろそろ帰ります。焦凍君、Aと遊んでくれてありがとう」
「ありがとう、しょうとくん。またこんどね！」
「うん！ ぼくこそ、ともだちになってくれてありがとう」
「ふふ、どういたしまして！ こんどはたくさんおかしもってくるね」
次に会える日を心待ちにして、Aと焦凍は手を互いに振って笑顔で別れた。また会えるというのなら、何も寂しいことはない。
そして子供達だけでなく、親達も笑顔になった。あまり笑わなかった子供達が、こうして友を得て喜びを知ったから。たくさん笑ってくれたから。
▽ ▽ ▽
“個性”、それすなわち超常現象であり異能なるもの。それをもった者は年々増加し、今では人類総人口のおよそ８割が異能もちであるという。人間ではない生き物がそれをもつことも確認されているらしい。
その異能は十人十色、もつ者それぞれで種々雑多なものだから、『個性』と呼ばれる。
そして異能をもたない者を、『無個性』と表現した。
はたして、その言葉は異能をもたない者という意味だけで表現しているのだろうか。表現する側によっては、人物としての個性や特徴がない者、と相手を卑下する言葉になるのではないか。
それらをわきまえた上で、異能の有無を“個性”や無個性という言葉で表現するのは正しいといえるのか。
Aには、判らなかった。
ただ彼女は、無個性と呼ばれる者にもその人にしかない特徴や性質はあるのに、と思った。
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サブとバラ(プロフ) - １ちゃん様、うなﾁｬ様、麗紅花様。レスを長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。コメントしてくださり、本当にありがとうございます！そろそろ更新を再開する予定でございます。そのときには、また応援していただければ幸いです。 (2021年3月24日 22時) (
レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。あなたが書いた小説を読んで最高でした。何よりも可愛らしくて、微笑ましくて、同時にちょっぴり切なくて良かったと思いました!続き、楽しみに待っています。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
うなﾁｬ - 面白かったです。楽しみに待ってます() (2020年6月21日 21時) (レス) id: 6b728aedaa (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - とっても面白かったです!更新よろしくお願いします! (2020年5月24日 12時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - いえいえ！！私も早まったコメントをしてしまい、申し訳ございません！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ | 作成日時：2020年4月23日 23時
