No.06 お母さん ページ6
＊
「ねぇ、しょうとくん」
「なに？」
「そういえば。どうしてわたしにともだちになろうっていってくれたの？」
焦凍にずっと気になっていた疑問をぶつける。
Aは彼と友達になれたことがとても嬉しかったが、同時に、何故自分と友達になりたかったのかが不思議でたまらなかったのだ。
「かみのけのいろ」
「か、かみのけのいろ？」
「うん。おかあさんとおなじでまっしろでしょ？ それで、きっとおかあさんみたいなやさしいひとなのかなって」
焦凍の答えは実に可愛らしいものだった。
Aは驚きで目が点になっていたが、すぐに柔らかく笑った。
「そっかぁ。しょうとくんはおかあさんがだいすきなんだね」
「うん！」
「わたしも、おかあさんだいすきなんだ！」
「えへへ、いっしょだね」
「うん、いっしょ！」
Aと焦凍は笑い合った。
Aは、人に対して臆病な面をもつ。
それはもともとの性格にもよるが、兎という動物がストレスを感じやすく自己防衛意識が強い生き物であるからが大きい。故にAは人に怯え、人を避けようとするのだ。
しかし、轟焦凍という存在には怯えを感じなかった。出会って一日も経っていないのに。
勝己や出久にも怯えることはなくなったが、それはあくまでも慣れであるのだ。
何故なら、轟焦凍という男の子は、友達ができる以前の兎々丸Aに似ていたからである。積極性では多少異なるが、友達が欲しいという想いや人に対してびくびくするところがAと酷似していた。
勿論、Aが人に慣れてきたという要素も、少なからずあるのだが。
* * *
Aと焦凍はたくさん遊び、すっかり仲良くなった。そして時間もあっという間に過ぎ、別れの時間がやってくる。
Aは寂しそうで、焦凍にいたっては半泣きの状態である。
「今日はありがとうございました。ほら、焦凍も」
「……」
「もう、泣かないの」
焦凍はやっとできて仲良くなった友達と別れたくなかったらしい。
しかし、Aは今日たまたまこの街まで来ただけであって近くに住んでいるわけではない。明日も会える、ということにはならないのだ。
焦凍の母は、焦凍の気持ちが分かってはいたし、どうにかしてやりたいとも思ってはいたが、これ以上他人に迷惑もかけられなかった。
だが、Aの父がこう言ったのだ。
「焦凍君。もし良かったら、またAと遊んでくれないかい？」
＊
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サブとバラ(プロフ) - １ちゃん様、うなﾁｬ様、麗紅花様。レスを長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。コメントしてくださり、本当にありがとうございます！そろそろ更新を再開する予定でございます。そのときには、また応援していただければ幸いです。 (2021年3月24日 22時) (
レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。あなたが書いた小説を読んで最高でした。何よりも可愛らしくて、微笑ましくて、同時にちょっぴり切なくて良かったと思いました!続き、楽しみに待っています。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
うなﾁｬ - 面白かったです。楽しみに待ってます() (2020年6月21日 21時) (レス) id: 6b728aedaa (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - とっても面白かったです!更新よろしくお願いします! (2020年5月24日 12時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - いえいえ！！私も早まったコメントをしてしまい、申し訳ございません！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ | 作成日時：2020年4月23日 23時
