No.04 ぼくと… ページ4
＊
「うん！ うまいな、これ」
父はむしゃむしゃと、Aはゆっくり味わいながら食べ進めた。
Aが大きなドーナツの４分の１ほど食べたとき、Aの傍に同い年くらいの男の子が近付いてきた。
それに気が付いたAはドーナツをちぎる手を止め、初対面の人間に身構える。父は気付かずドーナツに夢中の様だった。
男の子はAの視線に気が付くなり一歩退るが、またびくびくとした様子で近付いた。
Aも勿論、びくびくしている。
「あ、あの」
男の子は服の裾を握り締めながら、Aに話しかけた。
声が聞こえたことで、父はようやく男の子の存在に気が付いたらしい。
「その、ぼく……」
男の子が意を決して言葉を紡ごうとした時だった。
「焦凍！ こんな所にいた!!」
「あっ、お、お母さん」
男の子の母親らしき女性が現れる。Aは驚いて父の影に隠れた。
「すみません。うちの子が……」
女性は謝り、頭を垂れた。
「いえ、大丈夫ですよ」
父は困った様子で笑う。
「それで、ボクはどうしたのかな？」
「え、えっと」
男の子は戸惑って女性のズボンを握る。それから、再度決心したかのように言葉を続ける。
男の子へAに向かって声を発した。
「あの、ぼ、ぼくと……ともだちになってください」
男の子の言葉に、女性は目を見開いた。
そしてAも驚きはしたが、すぐに相好を崩した。
「ゎ、わたしでよければ……」
「！」
「おともだちに、なってください」
保育園で人に慣れてきたので、Aはこうして男の子の気持ちに応えることができた。慣れてきたといっても、友達はまだ勝己と出久くらいなのだが。
友達という存在はとても素敵なものだと知っていたので、Aは男の子の友達になろうと思った。
良い返事をもらえた男の子は、少し前のAのような歓喜の表情をたたえた。
「あ、ありがとう！ ぼく、しょうとっていうんだ。とどろきしょうと」
Aも名乗って、最後に「よろしくね」と言った。
* * *
「本当にすみません……」
「いいんです」
友達となったAと男の子…轟焦凍は、遊具で遊んでいた。
Aの父と焦凍の母は、子供らをベンチで見守りながら話す。
「焦凍は、家に篭もりっぱなしなので、友達が一人でも欲しかったのだと思います」
「そうなんですか。いや、うちの娘も友達が少ないようでしてね」
＊
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サブとバラ(プロフ) - １ちゃん様、うなﾁｬ様、麗紅花様。レスを長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません。コメントしてくださり、本当にありがとうございます！そろそろ更新を再開する予定でございます。そのときには、また応援していただければ幸いです。 (2021年3月24日 22時) (
レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
麗紅花(プロフ) - はじめまして。あなたが書いた小説を読んで最高でした。何よりも可愛らしくて、微笑ましくて、同時にちょっぴり切なくて良かったと思いました!続き、楽しみに待っています。 (2020年7月31日 21時) (レス) id: b338802f9d (このIDを非表示/違反報告)
うなﾁｬ - 面白かったです。楽しみに待ってます() (2020年6月21日 21時) (レス) id: 6b728aedaa (このIDを非表示/違反報告)
１ちゃん - とっても面白かったです!更新よろしくお願いします! (2020年5月24日 12時) (レス) id: 43879a9f7a (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - いえいえ！！私も早まったコメントをしてしまい、申し訳ございません！！ (2020年5月23日 16時) (レス) id: 9de3fc0d23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ | 作成日時：2020年4月23日 23時
