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Track87 ページ45

銃兎が仕事場に向かうと

「じゃあ、Aさん
私はこれから病院に行かなきゃいけないからこれで」

薬師寺はそう言った

「そうですか…」

「毎年…ありがとうね」

「いえ…」

薬師寺が霊園を後にすると、一人の男が墓に訪れた

「貴方が来るのは予想外でしたね……天国さん」

Aの視線の先にいるのは、ナゴヤ・ディビジョン『Bad Ass Temple』のメンバーで弁護士の天国獄

「そうか?」

天国はそう言うと、墓に缶ジュースを供え、手を合わせた



「少し、話さないか?」

天国のその提案に乗り、Aは近くのベンチに座った

「毎年来ているんですか?」

「あぁ」

Aの問に、天国はそう返した

「それで…話って?」

「……毎年、此処に来ると…あの時の事を思い出してな」

「フッ……貴方が、初めて無償で担当した裁判…ですか」

Aは笑みを溢し、天国に言った

「あぁ」

「私も、思い出しますよ……あの時の事…」









ーーーーー 十一年前 (銃兎18歳 A21歳)

【Aside】

ある事件の捜査で聞き込みが終わり、資料を纏めている時だった

銃兎の通う高校から呼び出しの連絡があった

高校側も混乱していたのか、詳細は話されなかったが、上司に話を通して仕事を切り上げ、高校に向かった

高校に着き、通されたのは生徒指導室

「(何をやらかしたんだ?)」

部屋に入ると、そこには教師が二人と鼻を怪我した男子生徒とその父親らしき男、そして銃兎が居た

教師の一人に促され、銃兎の隣に座る

「……状況を説明してもらえますか?」

教師にそう聞くと、向かい側の男が言った

「貴女の弟が、家の息子に怪我させたんですよ!」

「え…!?」

自分の耳を疑った

銃兎が怪我をさせた…?

「銃兎、どういう事?」

「………」

聞いても、銃兎は答えなかった

「息子の鼻の骨は折れています」

「…!」

「一体、どんな教育をされて来たんですか?」

「………何か言いなさい、銃兎」

「…………」

隣に座る銃兎は無言を貫いた

「あの…この度は、私の弟がご迷惑をお掛けしました
治療費は、全て私が負担します
本当に、申し訳ありませんでした」

銃兎の頭を手で無理矢理下げさせる

不満げな顔をしているのは、勿論気付いていた

「では、詳しい話はまた後日
今はまず、息子を早く医者に診せなくてはいけないので」

相手の生徒と父親は部屋を出て行った

人生で一番、頭を下げていたと思う

「では、私達もこれで失礼します」

この場はそれで一旦収まった

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2020年3月28日 16時

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