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Track86 ページ44

ーーーーー翌日

週末だからかヨコハマの街は何時もより人通りが多い

だが、街から少し離れた霊園には、人は殆ど居ない

Aと銃兎は、ある墓の前で立ち止まった

「去年は、命日の日に来れなくてすまなかったな……(かい)

目の前の墓に向かって銃兎はそう言うと、花を供える

「もう、十一年か……」

花を供える銃兎を見ながら、Aは言った

すると、

「Aさんと…銃兎君?」

一人の女の声が響いた

穏やかそうな女性だった

「お久し振りです、薬師寺(やくしじ)さん」

「お久し振りです」

Aと銃兎はそう言って軽く会釈した

「Aさんとは毎年合うけど、銃兎君とは久し振りに会った気がする…大きくなったね」

薬師寺は穏やかな顔で笑ってそう言った

「そう…ですか?」

「うん 初めて会った時は、Aさんと同じくらいの身長だったから」

薬師寺は銃兎にそう言うと、墓に果物などを供えた

「銃兎君は毎年来てるの?」

「はい 仕事の関係で、命日(この日)に来れない時がありますが…」

「そっか…ありがとうね」

「いえ…『親友』ですから」

薬師寺は線香に火を着けた

煙が立ち上り、線香特有の香りが漂う

それを合図とする様に、三人は手を合わせた



「そう言えば、銃兎君
ラップバトルに出たんだってね」

薬師寺が銃兎にそう言った

「え…知ってたんですか…!?」

「勿論
あの子もきっと……見ていたと思うよ」

「……負けた所なんて…恥ずかしいですね」

薬師寺の言葉に銃兎はそう言った

Aは屈んでいる銃兎の頭に手を置き、髪が乱れるくらい撫でた

「ちょっ、姉さん…!」

そして

「次は、勝ちますから」

薬師寺にそう言った

その時のAは、とても穏やかな表情だった

「!」

「あらあら それは楽しみね」

薬師寺がそう言うと、銃兎の携帯電話が着信を告げた

「すみません」

銃兎はその場から少し離れ、電話に出た

「警察官なんて凄いじゃない」

「あの子は、私の誇りですよ」

「フフフッ」

そんな話をしていると、銃兎が戻って来た

「呼び出し?」

「あぁ あれ絡みで」

「そっか…」

銃兎の言葉でAは全てを察する

「忙しいのね」

「すみません もっとゆっくりしたかったんですが…」

「良いのよ お仕事を優先して」

薬師寺は穏やかな笑顔で銃兎に言った

「銃兎」

Aは銃兎に車の鍵を渡した

「私はタクシーで帰るから、早く行きな」

「あぁ」

「頑張ってね、銃兎君」

「ありがとうございます、薬師寺さん」

銃兎はそう言うと、車に向かった

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2020年3月28日 16時

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