Track56 ページ13
「今晩は」
「!?」
露路の視線の先には顔に傷のある男と小さな少年がいた
「何で此処が…!」
「僕の財布には、GPSがついている」
「なっ…!」
露路の言葉に男は驚きを顕にした
「おい、お前! 何でスリなんか…」
「それと、その子供は…」
威圧的に言う二人を黙らせる様に露路は一歩前に踏み出した
靴の踵が音を立てる
「「!」」
「その子に…食べ物をあげれたかい?」
「「え…?」」
露路の言葉に二郎と三郎は困惑した
「……あの、」
「どうして分かったのかって?
簡単な推理さ 君の顔のその傷……普通に生活しててつくようなものじゃない
君は戦争に兵士として参加していたのだろう?
そして、そこの少年……学校に通っている様には見えないし、傷跡がいくつか確認できる
考えられるのは、その少年が戦争孤児であること」
「アンタは、そいつの為にスリをしていた」
露路の言葉を引き継ぎ、一郎が言った
「!!」
「一つ聞きたいんだけど、君がスリをしたのは何回目だい?」
「……分かりません」
「分かんねぇって何だよ!」
男の返答に二郎が言った
「二郎君、そんな威圧的に言わない」
「…でも!」
「『でも』じゃない」
露路は二郎にそう言うと、男に近付いた
「何で、スリなんだ?
それが犯罪行為であることは、勿論承知しているだろう?」
「……この傷のせいで、雇ってもらえなくて…」
「ふむ…それは、問題だ
でも、『仕方ないね』とは言えない
君がやった事は、法に触れる犯罪だ」
「分かっています…どうぞ、警察を呼んでください」
「分かった、警察を呼ぼう」
「はい…あの、」
「何だい?」
「この子の事、孤児院に預ける事はできますか?
今まで行った孤児院には、全て断られたんですけど…」
「んー……分かった」
露路はそう言うと、電話を掛けた
「Aちゃん今暇?」
『仕事中だ』
「そっか、暇なんだね 一つ頼みたい事があるんだけど」
『その耳は大丈夫か?』
「ひどいなぁ、もう」
『それで、頼みって何だ?』
「良い孤児院を紹介してくれない?」
『孤児院…? また、面倒事に首を突っ込んだのか?』
「まぁ…そんなとこ」
『ハァ…まぁ、分かった 10分で調べられるだろう』
「じゃあ、分かったらメールしてね よろしくー」
露路は通話を切ると、
「これでその子は安心だよ」
男にそう言った
「…ありがとうございます」
「じゃあ一郎君 警察に連絡」
「あ…ああ」
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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2020年3月28日 16時