【ヒプノシスマイク】 ＭＴＣのまとめ役には姉がいる

Track29 ページ33

「厄介な事…？」

天谷奴がAに聞いた

「先日、退紅殿に今ヨコハマに出回っている薬(ドラッグ)についての情報を寄越せと呼び出されてしまってね…」

「ああ…あれね」

Aの言葉に天谷奴はそう言った

「知ってるのか？」

「あれだろ？ 四年前、黒葛(つづら)ちゃんが担当した最後の事件…だろ？」

「流石、情報が早いな」

「褒めても何も出ねぇぞ〜」

「別に期待してない」

「その情報が欲しいのか？」

「…まぁ」

「懲りないねぇ〜」

「何？」

天谷奴の言葉にAは言った

「部下が薬(ドラッグ)絡みでやられ、その責任を取り検察官を辞職……まだ、連中に首を突っ込むのかい？」

「検察官を辞めたからこそ、見えた景色がある……」

「へぇ〜…
黒葛(つづら)ちゃんが薬(ドラッグ)を嫌う理由は分かるけどよ〜」

「何が言いたい？」

「黒葛(つづら)ちゃんも弟も方も、薬(ドラッグ)に固執し過ぎなんだよ
この世から、薬(ドラッグ)を消すなんて不可能なのによ」

ｻﾞｯ

天谷奴がそう言うと、二人は同時にマイク(・・・)を取り出した

「……」

「…この世から薬(ドラッグ)を消すことは、あの子の意志だ 踏みにじる事は許さない」

Aがそう言うと、

「冗談よ冗談…」

天谷奴はそう言ってマイクを仕舞った

「黒葛(つづら)ちゃんとラップバトルなんかしたくねぇしな〜」

「………」

Aは手に持つマイクを仕舞う

「それで、その情報とやらは？」

「それは、黒葛(つづら)ちゃんにお酌でもしてもらいながら話そうかね〜」
　
天谷奴はそう言うと立ち上がり、ドアに手を掛ける

「じゃあ、夜にな」

そして、そう言うと店を出て行った



「(天谷奴零…中王区の思惑通りに動く男…か)」

Aはポケットから携帯を取り出し、画面に触れる

画面に録音停止の文字が表示される



「(『ヒプノシスマイク・catharsis』か…)」

BARを出た天谷奴の携帯が着信を告げた

「よぉ〜乙統女」

『どうでしたか？』

「お前の予想は外れたな」

『外れた？』

「黒葛(つづら)ちゃんは、ヒプノシスマイクを持っていない(・・・・・・)」

『その言葉を素直に信じるとでも？』

「本当だって 何たって、詐欺師(おれ)の保証だぜ」

天谷奴がそう言うと、そのまま通話は切られた

「これは貸しだせ、A…」

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