誰ソ彼乙女は、かの人の孫 【地縛少年花子くん】

第四十三の怪　恐れと怒り【ドーナツ＆ミツバ編】　 ページ49

「なんの怪異だか知らないけど大事な話してんだから、話の邪魔しないでよね！」


花子くんが包丁を振りかざしたと同時に鶴がヒラヒラと落ちていく


「くっふふっ、あはは！ははっ！普、みーつけた！」


そのモノの姿を見た瞬間、花子くんの顔がどんどん青ざめていった。

「うっわ！懐かしいその包丁。
ふーんその子の事は守るんだ…俺の事は殺したくせに…」

ゆっくりと近づいてくる、弟に彼は硬直してしまっていた。

「あはっびっくりした？
俺には優秀な助手がいてねここまで来るの手伝ってもらったんだ。ねぇ、普、俺に会えてうれしい？」

「ッ、つかさ…」


花子は自分が殺したはずの双子の弟を前にして。


「うん、そうだよ！」


まるで、深い海の底に沈められたような……そんな感覚に襲われた。

そのやり取り土籠は冷静に分析した。

「柚木つかさ…やっぱり、封印が解けていたか…」

『ツッチー、封印って…あ、もしかして、光くんのおばあちゃんが封印した花子さんって…つかさくん？』


Aが彼の名前を呼んだ瞬間。


「やぁ、Aお姉さん！この間振りだね。」


庇ってくれていた筈の土籠は壁に叩きつけられていた。


『な、先生！』

「もう！あんな奴なんて放っておいて俺だけを見てよ。じゃないと…握り潰しながら、殺しちゃうよ。」

『そんな事をすれば、私は貴方を許さないわ、つかさくん！』

その言葉につかさはニコリと笑った。

「あは！やっぱり、彼女の孫だね！
でも、彼女は君の様に勇敢じゃなかったから、反応が新鮮で楽しいなぁ〜」

つかさの無邪気な表情の中にある闇を感じ、Aは精一杯の威嚇をする。

その時。


「おいガキ！ウチの助手に気安く触れるな！」


土籠は持っていた塩化ナトリウムをつかさに投げつける。


「わぁ！土籠先生だ、懐かしい！
へえ〜怪異なのに、まだ先生の面してるだぁ〜。」


すると、つかさの体の所々に穴が空き始めた。


「黙れ！このサイコパス！これ以上、俺の生徒に手を出してみろ！この場で切り刻んでやる！」


今の土籠の顔は今にも視線で人を殺せる目付きだ。


「あは、今日は本調子じゃないから遠慮しとくよ。
其れに目的は果たせたしね。」


つかさは花子とAを交互に見る。


「お姉さん、この先、もっと面白い物語を見せてあげるよ！
彼女以上に強い君は耐えられるかな？へへ、楽しみにしててね。」


そう言ってつかさは霧の様に姿を消した。

第四十四の怪　幼き日の記憶…次の物語へ　【ドーナツ＆ミツバ編】→←第四十ニの怪　優しいから抱え込む【ドーナツ＆ミツバ編】

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