星に願いを (ページ5)

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余命宣告ページ5

｢行ってらっしゃい｣

『え、Aは今日仕事ないの？』

｢え？あ、うん。今日実は仕事休みなの笑｣

『えぇ～？それなら俺も休んでデート行けたのに～』

｢もう、ダメでしょ？私は今日友達とランチだから｣

『そっかぁ…』

彼が見せるこの拗ねた表情が可愛いんだよなぁ…

『あっ、俺さ今日帰ってきたらさ、』

｢ん？｣

『いや、なんでもない笑じゃ、行ってくるわ』

｢うん笑｣

〈Aさーん、3番の扉にお入りください〉

｢はい、、｣

病院で一通り検査を受けて、診察室に呼ばれて入ると、私には予想もしなかった辛い現実が待ち構えていた……。

〈……残念ですが、、〉

｢え……？｣

余命宣告を受けるなんて、想像もしてなかった。

｢あとどれくらい私は…｣

〈もって2年ですかね、、延命治療を受ければ…〉

｢いえ、私、延命治療は受けません｣

こんなに淡々と答えた癖に、頭の中では何もまとまってなくて、ただ暗い未来に肩の震えが止まらなかった。

『ただいま～っす！』

｢…おかえり｣

『どした？なんか元気なくない？』

｢ううん、、あのね、宏光｣

『ん？』

「私と別れてほしい」

『は？なんでいきなり』

「私やりたいこと見つけちゃったから」

『何、やりたいことって』

「それは秘密だけど」

『は？！だからって別に別れることないじゃん、』

「だって、、多分このままでいたら私も宏光も後悔すると思う、」

『何か隠してる？』

「そういう事じゃなくて、もう私が宏光に飽きちゃっただけ。2年付き合って分かったけど、我慢できないこといっぱいあるし…」

『はぁ？！いきなりすぎだろ、家だって…』

「この家は元々宏光のでしょ？、、心配しないで私はちゃんと住むところ見つけたから」

『男、できた、？』

「まぁ、そんなとこ」

『あっそ』

怖くて顔も見れなかった。

彼はそれから部屋に入ったきり、戻ってくることはなかった。

私は昼のうちにまとめておいた荷物を持って家を出た。

ごめんね、宏光。

私の暗い未来に、あなたはいない方がいい。

私にとっては自分の命の長さよりも、彼との時間の方が惜しく思えて、耐えられなくなるのが目に見えてるから別れて正解だった、そう思いたかった。