残酷な運命はまたしても ページ21
今日の朝、仕事中に病院から電話がかかってきた。
〈北山さんの旦那さんですか?〉
『そうですけど、』
〈Aさんの検査結果が出たんですが、今日病院にいらっしゃることは出来ますか?〉
『え、俺だけですか?』
〈はい、先生が旦那様おひとりで、と。〉
『分かりました。夕方頃向かいます』
ここ1週間、Aは特に病状も悪化せず、せん妄も、体調不良も見えない様子だった。
だから、検査の結果も当然いいだろう。
俺もAもそう期待していた。
けれど、俺もこの電話の意味が分からないほど馬鹿じゃない。
俺は覚悟して病院に向かった。
『失礼します…北山です』
〈あぁ、こんにちは。突然お呼び出ししてすみません〉
『いや、大丈夫ですけど、それで検査結果の方は…』
〈……それがですね、、先日Aさんに悪性腫瘍が新たに見つかりました…〉
『……っ、』
言葉にならなかった。
『それって、』
〈次の春までもつかどうかと言うところでしょう…ご本人が延命治療を希望していませんので、〉
『じゃあ、俺はあいつが逝くのを、、あと数ヶ月で逝くのをただ待つしか出来ないってことですか、、?!』
〈……〉
『そんなっ、泣』
〈おそらくAさんは自分の体ですから覚悟をしているかもしれませんが、検査結果は宏光さんから言ってあげた方がいいかと、、〉
そんな残酷なこと、俺には……。
でも、最後まで守るって約束したのは俺だ。
俺が向き合わなけりゃAは安心して逝けない。
〈それから、もうそろそろ車椅子にしないと彼女にとっても危険ですので…〉
『分かりました…俺から伝えます』
帰り道、AからLINEがきた。
【みっくん!星見に行こう!お弁当作ったの☺】
いい歳したスーツ姿の男が、道端で泣いてるっていうのに、こんなにも愛おしいメッセージにはいくつもの希望が見えた。
『ただいま、』
「おかえり〜、ってどうしたの?!顔パンッパンじゃん!!」
『別になんでも…』
「仕事で嫌なことあった?、、あ、またお昼カップ麺でも食べたんでしょ?笑 ごめんね、私が毎日お弁当作ってあげられれば…」
『違うよ、そんなんじゃない。着替えてくるから待ってて笑』
俺はスーツから普段着に着替え、車を出し足元がおぼつかない彼女を乗せた。
車の中は妙に静かだった。
すると彼女から口を開いた。
「ねぇ、昔さ、結婚する前も2人で星見に行ったよね……?」
そうだ、あれはいつだったっけ──
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ももちん - 涙がとまりません (2021年1月3日 0時) (レス) id: bd2e175192 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ともさん» このレス欄でメンバーを言っていただければOKです! (2019年10月3日 15時) (レス) id: 1f93544609 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 返事遅くなりすみません!ボード大丈夫ですか? (2019年10月2日 0時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ともさん» 大丈夫です! (2019年9月24日 1時) (レス) id: 1f93544609 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 病系でも大丈夫ですか? (2019年9月22日 15時) (レス) id: 1f79981bd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年9月13日 15時