[文スト]中島敦には、可愛い双子の妹が居ます:2[中島敦]

53:そ〜ら〜を〜飛んd「違う！！」 ページ17

「終わりだ」

虎化した腕を向けられているのに、
鏡花さんの表情は変わらなかった。

「この能力を止めて爆弾の場所を教えろ」

私は乗客から離れず、警戒態勢をとったまま
鏡花さんの話に耳を向けた。

「私の名は鏡花。35人殺した。
一番最後に殺したのは三人家族、
父親と母親と男の子。
夜叉が首を掻き切った」

鏡花さんは自分の服に手を掛け、
ぐっと引っ張った。

「………何てことだ」

鏡花さんは自分に仕込まれた爆弾を指差した。

お兄さんは恐怖に満ちた顔をしていた。

「君は……何者なんだ。
言葉からも君自身からも何の感情も感じない。まるで殺人機械(ﾏｼﾝ)だ。
言葉にしてくれ。望みがあるなら言葉にしなきゃ駄目だ」

『鏡花さん…こんな事が貴女の本当にしたいことなんですか？」

鏡花さんは何も答えない。

「'こちら車掌室、二人ともまだ生きてッかい？'」

ザーというノイズと共に聞こえてきた与謝野さんの声。

「与謝野さん！」

「'こっちのヘボ爆弾魔によるとそっちの爆薬は遠隔点火式だ！
間違った手段で解除すると数秒でドカン！
そうだな？'」

誰かに聞いたんでしょうか？
まぁ、想像は出来ますけど

「'解除には非常時用の停止釦しかない！
そっちのマフィアが持ってる筈だよ！'」

「君が……持ってるのか？渡して」

鏡花さんはお兄さんを見たあと釦を渡した。

お兄さんは停止釦をカチッと押した。

するとピッという機械音が聞こえた。

「'…それを押したのか鏡花'」

芥川さんの声が携帯から聞こえ、
ビィィィィィッという音が甲高く響いた。

「'解除など不要。乗客を道連れにしマフィアへの畏怖を俗衆に示せ'」

「数秒で爆発………！？」

『爆弾を外して！』

お兄さんも私も鏡花さんの爆弾を外そうとする。

「間に合わない」

その言葉が聞こえたのと同時に私とお兄さんは押された。

その時に私もお兄さんも漸く気が付いた。

鏡花さんは自分の異能力を自分で操れない！

「私は鏡花、35人殺した。
もうこれ以上一人だって殺したくない」

トンと地面を蹴り、車両の外へと飛び降りた鏡花さん。

その行動を見たお兄さんも飛び降りた。

爆弾をブチィッ！と乱暴に外し、
爆弾は空中へ投げ捨てられた。

直後に爆発が起き、与謝野さんの声が聞こえた。

『与謝野さんは乗客をお願いします！』

そう告げて私も車両から飛び降りた。

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