[文スト]中島敦には、可愛い双子の妹が居ます:2[中島敦]

47:あ、逃げ遅れました ページ11

「太宰が行方不明ぃ？」

探偵社に国木田さんの声が響いた。

「電話も繋がりませんし、
下宿にも帰ってないようで」

お兄さんがそう云ったにも関わらず、
'川や土中...拘置所に居るんじゃない？'
という声がちやほや聞こえた。

「しかし、先日の一件もありますし......
真逆マフィアに暗殺されたとか......」

『それは無いと思いますよ？
自分で自分を殺せない人が、
一体、誰に殺されるんですか？』

「でも......「ボクが調べておくよ」」

声の聞こえた方を、全員が見た。

「谷崎さん、無事でしたか！」

「与謝野先生の治療の賜物だな。
谷崎、何度解体された？」

え？解体.........？

その言葉を聞くと、谷崎さんの顔は
サーッと青ざめていった。

「.........四回」

その言葉に国木田さん達も、
あー......と云った。

「敦君、Aちゃん。探偵社で怪我だけは
絶ッ対にしちゃ駄目だよ」

ｶﾞﾀｶﾞﾀと震える谷崎さんの意味が
私達にはよく判らなかった。

「今回はマフィア相手と知れた時点で
逃げなかった谷崎が悪い」

「マズいと思ったらすぐ逃げる
危機察知能力だね。たとえば......」

乱歩さんは懐中時計を見ながら云った。

「今から10秒後」

そしてその後に'ふァ〜あ'という
欠伸が聞こえた。

「寝過ぎちまったよ」

与謝野さんは私達に気付くと、
いきなりこう云った。

「新入りの敦とAだね。
どっか怪我してないかい？」

「ええ、大丈夫です」

ちぇっと舌打ちが聞こえたような......

「ところで、誰かに買出しの荷物を頼もう
と思ったンだけど......
アンタ達しか居ないようだねェ」

......逃げ遅れた...と凄い思いました

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