9:異能の力を持つ者 ページ10
「!」
お兄さんは肩をビクッと跳ねさせてから後ろを見た。
「今......そこで物音が!」
「そうだね」
慌てているお兄さんとは裏腹に、太宰さんは静かに云った。
「きっと奴ですよ太宰さん!」
「風で何か落ちたんだろう」
「ひ、人喰い虎だ...僕達を喰いに来たんだ」
「座りたまえよ敦君。虎はあんな処からは来ない。Aちゃんを見習いたまえ」
「ど、どうして判るんです!」
太宰さんは読んでいた本をパタンと閉じた。
「そもそも変なんだよ敦君」
お兄さんは慌てていたが黙って耳を傾けた。
私は静かに微笑んでいた。
やっぱり...太宰さんは面白いですね...
「経営が傾いたからって養護施設が児童を追放するかい?大昔の農村じゃないんだ」
『まぁ、経営が傾いたなら別の解決策がありますしね』
「そう。経営が傾いたんなら、一人二人追放したとこでどうにもならない。半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ」
黙って聞いていたお兄さんも、ついに口を開いた。
「太宰さん...何を、云って__」
言葉の途中でお兄さんは空を見た。
そんなことを気にも留めず、太宰さんは話し続けた。
「君達が街に来たのが2週間前。虎が街に現れたのも2週間前」
お兄さんは空を見つめたまま静止している。
「君達が鶴見川にべりにいたのが4日前。同じ場所で虎が目撃されたのも4日前」
お兄さんは青い文字列に包まれて姿を変えていく...
「国木田君が云っていただろう'武装探偵社'は異能の力を持つ輩の寄り合いだと。巷間には知られていないがこの世には異能のものが少なからずいる」
私は見ているだけじゃいけない気がしたので、荷物から飛び降りた。
「その力で成功する者もいれば__力を制御できず、身を滅ぼす者もいる。大方、施設の人は虎の正体を知っていたが君には教えなかったんだろう」
太宰さんは冷たい視線を向ける...
温度も時間も感じられない...無の瞳を...
「君だけが解っていなかったのだよ。君も'異能の者'だ。現身に飢獣を降ろす月下の能力者 __」
お兄さん...虎は吠えた。
輝く満月の空へ向かって...悠々と...
白銀の毛を、満月が怪しく輝かせた。
10:お兄さんの扱いが酷いですね→←8:余裕ですね。太宰さんって
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時姫(プロフ) - 黒樹ユリ かさくん親衛隊さん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありません。 そして、コメントありがとうございます。もしよろしければ、 リクエストの方で何かありますか? 教えていただければ嬉しいです。 (2017年8月23日 19時) (レス) id: f26110437a (このIDを非表示/違反報告)
黒樹ユリ かさくん親衛隊 - 敦君可愛いし天使!!!! (2017年7月19日 17時) (レス) id: 6e14238389 (このIDを非表示/違反報告)
時姫(プロフ) - 月雪桜さん» はい。応援ありがとうございます。 これからも頑張ります。 (2017年5月24日 16時) (レス) id: f26110437a (このIDを非表示/違反報告)
月雪桜(プロフ) - とても面白いです。これからどうなるのかが気になります。頑張って下さい^_^ (2017年5月23日 22時) (レス) id: b41419936b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時姫 | 作成日時:2017年5月17日 18時