弐拾伍 ページ41
こんのすけはいいたくないのかモジモジしながら口を開く。
「…その……今は別のこんのすけが務めております。私は"かの事件"以降、責任をとわれ別の部署に異動となりまして…」
このご時世何があるのか予測がつかないものです。
こんのすけが感傷に浸りながらそんなことを言った。
「…事件って、私があの子を殴ったこと？」
恐る恐るこんのすけにきいた。
それならばスライディング土下座で済む話じゃない。私のせいで本丸にいた刀剣男士達だけでなく、こんのすけにまで被害がいくとは…。
今日私の元に来てくれた三振りの顔を思い出す。
あの元気の良さはきっと私を気遣ってくれてのことだった。…それがわからないほど阿呆じゃない。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
私は一生扱き使われても構わなかった。
関わった彼等がそれで不当な扱いをしないで済むのならと…、それなのに＿今私は何をしているのだろう。
酷く空気が重く感じる。
「…い、いえ違います！！
全く蘇芳様は関係ございません！
貴方様はあれ以降本丸に一歩も近づいていませんし、刀剣男士に呪術もかけてないではありませんか！
政府からの疑いなどとうに晴れております。
あれは…審神者様をお守りすることの出来なかった私のせいなのです！」
「え？」
「ほ？」
話が根本的なところでズレている……。
それだけは分かった。
「はっ！…つい口が…。」
こんのすけは慌てて口を噤んだが、もう遅い。
私はこんのすけに掴みかかるようにこんのすけの体を抑える。
「…あの事件って何？
私のいない間にあの本丸で何かあったんでしょう！？こんのすけ、答えて！」
「わ、私は何も知りません！知らないんです〜！」
慌てて彼は弁解していたがそんな安い嘘を信じる私ではない。
「もうバレちゃってんの！は・な・し・な・さ・い！」
彼を怒りに任せて揺さぶるが、全くもって彼の口は堅い。
たまにボロがでるのに、今回に限って堅い。
「そ、そーんなことより蘇芳様へ文がございまして」
「話をそらさない！」
「もともとこちらに伺ったのはこのためなんですー！信じてください！」
逃げようとするこんのすけを抑えていると彼が身につけている風呂敷から白い何かがひらりと落ちる。
多分上手く風呂敷の中に入っていなかったのだろう。
「はっ！…そ、それがお渡しにするように頼まれた文なのです！私の事は後にしてまずはお読みになられてください。」
「……。」
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作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年2月1日 1時
