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恋文

翌日、私は意を決しはっきりと言った。

「_その、審神者様のお気持ちお受けできません。申し訳ございません。」



その男の顔立ちは整っているイケメンさんだ。…まともに話したこともないのでどうしてイケメンの彼に告白されたのかわからない。

「どうしてですか?話したことが一度もないからですか?

いえ、そもそも俺に興味はないと?」

「…今の私は、上辺だけ繕っているだけの私です。
もしこちら側の私を見て慕ってくださったのならば、私はきっと貴方様の求める"私"として応えることは難しい。そう思ったんです。」

その後もペラペラと理由を言い続けだ。極めつけに「私の本心を見られれば恐らく幻滅なさると思いますから。」
とにこりと言い切って。



彼が「分かりました」というのを待った。_が、思わぬ展開に事が進んだ。

「ますます貴方に惹かれました!是非とも御付き合いを願いたい。」
気づいた時には両手を握られて笑顔で私を見る。

「俺はそこが好きになったんです。
誰にも媚びようとしないその心、俺はその姿勢に惹かれたんです!」

「え、えーと、……ありがとう…ございます。」

余計に好かれてしまったらしい。彼の息が荒い。

「幻滅するのはお互いのことをよく知っていないからですよ。
そうだ!友達から始めましょう!連絡先交換しませんか?」
見た目は草食系美男子だというのにぐいぐいとくるこの男に押され、ペースを持っていかれているとふいに私の手を掴む審神者の腕を誰かが掴んだ。


「_人の女に手を出すとは感心しないな。」

「え?」

「ん?」

そこにいたのはあのフードの男、
下に来るところを今まで見たこともないが…

現にここにいた。


「いい加減その手を離したらどうだい。…不愉快だ。」

「…あ、その…っ…悪かった。」

フードの男が彼の手を払い除けると柔らかな声で私をいたわった。

「変なことはされなかったかな?」

初めて私を抱きとめ頭を撫でてきたので驚いて背の高い彼の顔を見る。

…フードの中でで見え隠れする彼の蒼い目がちらちらと見えて、少し感動した。

綺麗な青い目_


しかし、フードが光を遮断するせいで顔全体がわからない。

そんな私の感動も知らない彼は口パクでこう言った。

『話を合わせろ。』

その瞬間、彼の取った行動の理由がわかった。

助けに来てくれたらしい。





「彼氏が居たんですね。…そう言ってくれれば良かったのに。」
居心地が悪いのか、男の審神者は苦笑いで言ってきた。

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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年2月1日 1時

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