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中〜夢主ちゃん、海に行く〜12 ページ10

「アレって何?」

「大将…さっき、やられただろ?」

そう言って彼は自分の唇をとんとんとつつき、私に理解を求めた。

「あー…さっきのことね。
…それで、さっきのがどうしたの?」

「…大将は、…何も、感じないのか?」
彼は驚きのあまり、私の手を離したので私は腕を組んではっきりと口にだす。

「…だってアレ…長義の悪戯でしょ?」


「「は?」」

二人が仲良く息を初めて合わせた。
……やっぱり二人って仲がいいのだろうか?


「薬研…考えてみなさいよ。この長義くんが私とキスなんてしたがるはずがないでしょ?
プライドが高い上に美形の長義ならなおのこと狙うとしたら、平均点あたりの私より上の女じゃない!!」

「あ、いや…た、大将?」

「それにね。
ただでさえ今まで長義には"怪力女"だの"鈍感女"だの、私を恋愛対象と見ている節がない!」


「……そう、だったな。お前はそういう奴だったな」

「旦那、…それは初耳なんだが」

「…懲りないやつだ。
……まあ、今やれるものならやってみるんだな」

「…ちっ」

なんの話をしているのか分からないが私は続けた。

「ふふふっ、薬研は遠くから一部始終を見てただけなんでしょうけど甘かったわね。
結局何やったのかは知らないけど、恥ずかしがる私の顔が見たかったってのには違いないでしょ!
ね、長義!!」

そう答えを持ち込んだ彼はその整った顔を少し歪めていた。

「まあ、…半分はあってるから良しとするかな」

最後には少し笑ってくれたので、私も釣られて笑顔になる。

「そうでしょ?少しは長義の考えてることが理解出来たんじゃないかって自分でも思うもの」





「…本当にお前はどうしてそこまでして無垢でいようとするんだろうな」

ぽつりと呟いて彼は悲しそうに笑う。

「……長義?」

「これでは先が思いやられる。…まあ、じっくり付き合ってやるが」

じっくり…、それは末永く友達でいてくれるということだろうか?

それならば今まで友達がいなかった私にとってとてつもなく嬉しい話じゃないか!!


海ってやっぱり最高だ!
長義がこんな優しい発言をするだなんて、海の奇跡だ!



そう感激にひたっていたところ、私は後ろから近づく人の心を知らなかった。

「…なあ、大将」

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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年11月25日 2時

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