中〜夢主ちゃん、海に行く〜19 ページ17
審査員の人達と言い争っていると、聞き覚えのある声が横入りする。
「大将!!」
振り向けば、人混みの隙間から一目散に薬研藤四郎がこっちに向かって走っていた。
自然と腰に手を当て眉をへの字に曲げ、呟かずにはいられない。
「…いくらなんでも来るのが早くない?」
居場所を特定されるのがここまで早かったとは思わなかった。…てっきりあと早くてもあと5分ぐらいだと思ってたのだけど。
私が代行したあの本丸の今の審神者、まあここでは薬研藤四郎の審神者と言ったほうがいいと思うが、その美少女から申し込まれた水着美女対決。
今後の話のネタにされそうなのもあって逃げてきたのに…、
少し嫌な私とは対照的に、薬研は嬉しそうに笑って私の腕を引き、背の低い自分の元に引き寄せた。
「…たーいしょ。俺からそう簡単に逃げられると思うなよ」
「人前だからやめてほしいんだけど…っひゃあ!?」
私の顎に手を添えてニンマリ笑う薬研が色っぽい。やっぱり彼は年齢詐欺師薬研藤四郎だ。
ふうっと吐息を耳元にあてて、反射的に反応する私を見てクスクス笑う。
「やめてくれって割に体はやけに素直だな?」
「うぅ…」
わざとだ。この短刀…!!
下手に逆らえない私はされるがままで、目をそらすことしか出来ない。
一体何の罰ゲームを受けているんだろうか。
赤面する審査員の男たちになんだか申し訳なく思っていたとき、ひどくおののいた声が横槍を入れた。
「やげん…?どうして_」
はっとしてそちらを見ると、顔を青ざめて口に手を当てるふりふりの水着を着た美少女がいる。
私もそれと同時に顔が青くなっていく。
ああ、最悪だ。
もちろん私の気持ちを図ってくれることもなく、話しかけられた薬研はその美少女を見ると冷めた顔をしてとどめを突き刺した。
「…ああ、審神者か。奇遇だな」
そういうと彼はあの美少女に目もくれず、審神者に気を取られていた私の足を引っ掛けて押し倒し嬲り始める。
「ちょっと、離れて…んぅっ?!」
「なあ、もしかして俺があの審神者の物だってこと気にしてんのか?
安心しろよ。俺は絶対に大将以外のやつを認める気はないぜ?俺の身がどうなろうとも」
安心も何も、自分の身体を大事にして!と叫びたいが薬研が私の首を一噛みすると今度はチロチロなめ始める。
「な、なななな舐め!? 」
「悪いな。これは俺から逃げようとしたちょっとした仕置きだ。
もう少し我慢してくれや、な?」
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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年11月25日 2時