中〜夢主ちゃん、海に行く〜14 ページ12
「…なぜこの女に拘る」
「拘るも何も刀剣男士として初めて俺自身が認めた"大将"だからだ。
本丸の審神者が変わったからなんだ。俺にとってはあいつが大将ってのには変わりないんだよ。
…刀の時と違って俺は俺のやりたいように動ける。
手を伸ばせば、声をかければ大将に触れられる。守ってやれる。
こんな幸せなことってないだろ？」
「薬研…」
思わず抱きつきたくなるような漢の発言に手を伸ばしかけてしまう。＿が長義がそれを止めさせられた。
「……今の審神者はどうした？」
「…さあな。好き勝手やってるんじゃないか？」
本当にどうでもいいとでもいいたげな顔で一緒に暮らしているはずのその人に対して情のひとつも見受けられなかった。
彼は…この様子だと本当に今の審神者を蔑ろにしていそうだった。
「…それでいいとでも思ってるのかな？」
「任務はちゃんとこなしてんだ。
それにあいつは……、いやなんでもない。
そもそも、大将ならまだしも部外者のあんたにとやかく言われる筋合いはないね」
「なら部外者のお前が別の道を進む彼女に付きまとうのは理にかなってないだろう」
「図体はでかいのにいちいち言わないと理解出来ないのか？
俺は一途に大将を思ってるだけだ。
…なあ、コレの何が間違ってる？」
「…それは執着だ。そんな歪めた思いはいずれ相手を不幸にする」
「不幸…ね。
んなもの政府の肩持つあんたに一番言われたくないぜ…。
…なあ、言いなりの本歌さんよ」
「…っ、なんだと？」
嗤う薬研に対してあの冷静な長義が怒った。
不味い…途中から壮絶な会話についていけず双方の顔を見ていただけだが、そのせいで目の前で謎の論争が始まった。
いや、なんで告白まがいな言葉からこんな戦いが始まりそうなほどぴりぴりした空気に豹変したんだろ。
どうしようととおろおろしていると、遠目で誰かがこちらに伺っているのに気づいた。
フリルのついたパステルカラーのビキニを来た綺麗な女の子。私と違って物凄く可愛い。
その娘は何故か私と目が合う前から憎悪に似た怨念を向けている。
…え？…なんか恨まれてる…？
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作者名：沙恵燬 | 作成日時：2019年11月25日 2時
