[映画編] サブマリン。 (ページ9)

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「チッ、褒めてくれるのは結構だが、あんな学生時代の気まぐれみたいな研究を一々覚えられてたんじゃたまらねぇよ。おまけに、そこでふんぞり返ってやがるオッサンがバーで話題にまで出しやがるから、俺は濡れ衣着せられて、いい迷惑だ」

「濡れ衣…って、」

「おかげで幹部昇格も条件付きになっちまった。ま、オレならICPOの試験程度、楽勝とはいえ…元はと言えばアンタのせいだ。恨むぜ、ジンの愛しのオイヌサマ？」

唇をニィと吊り上げ、殊更煽るように顔を覗き込んでくる青年からさりげなく視線を逃しつつ、俺は振り返ってジンに問う。

「濡れ衣って言われてるけど、何やったんだ？」

「何もしてねぇよ。やたら噛み付いて来やがるのが鬱陶しかったからちょっと突いてやったら、あっさり尻尾を出しやがっただけだ」

「ごめん、さすがにそれだけじゃ理解できない」

「…知りたいなら後で説明してやる。が、今は顔合わせが優先だ」

なるほど、ジンの言うことにも一理ある。
今日はこの後に俺も仕事の予定が何件か詰まってるから、もう少ししたらその準備に取り掛からなければいけないのだ。

ジンから話を聞くのは後回しにして、取り敢えず今は目の前のこの子から連絡先のひとつでも聞き出しておくことが大切だろう。