[映画編] サブマリン。 (ページ26)

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「そうか、なら面倒だが編集の跡があるかどうか俺が確認してやってもいいぜ」

「ハッ、何日も無駄にした後で結局何も見つけられませんでしたって無様に謝るのがオチだっつの！」

「さァな。…ところでベルモット、肝心のデータは今どこにあるか知ってるか？」

きっと、ガキはデータの書き換えなどしてはいないのだろう。俺の直感を信じるならば、ガキは無罪だった。つまり、まともに検証をしてしまえばガキの立場は磐石になり、言いがかりをつけた俺の方の威信が揺らぐ。

だが、無論全ては勝算があるからこその賭けだ。

「───もうないわよ、ジン。殺害の証拠になるデータは、ラムとあの方が確認した後でさっさと捨てられたはずだもの」

「フン、そうなると調べようがねぇなァ？」

「そうなるわね、残念だけど」

ニヤリと笑った俺の問いかけに、ベルモットがため息混じりの同意を示す。
分かってる癖に聞かないでちょうだい、という声が聞こえてきそうな態度だったが、別にいい。

身の程知らずにも俺に喧嘩を売ってくるような馬鹿を連れてきた以上、俺の機嫌を損ねた責任の一端は奴にもあるのだから。答え合わせという名のほんの一幕のパフォーマンスを手伝わせるくらい、寧ろ安いものだろう。

「なっ、そんな、嘘だろっ！？調べたら俺の話が正しいって証明されるはずなのに、何で捨てられてんだよ！！」

「仕方ないじゃない。ラムとボスが確認して、その時点では二人とも不審とは思わずにそれを認めたんだから、邪魔になる前に証拠は破棄されたのよ」

「邪魔って、だって提出したのはほんの数日前だぜ！？データだって、そんなに重く無かったはずだ！」

「バカね、邪魔っていうのはそういう意味じゃないわ。殺人事件として警察が動き出した時に、殺害の証拠データが手元に残っていたら、万が一にも嗅ぎつけられた時に証拠になるでしょ？だから、不要と判断したらすぐにデバイスごと全部記録は消去するの」

ベルモットが説明している内容は、幹部ならば当たり前に知っている組織の規則だ。

当然、このバーに居合わせた他の奴らも、ほとんどが説明されるまでもなくこのルールは把握していただろう。