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「っ、それは…監視カメラのデータも携帯も上に提出したからオレの手元にはねぇんだよ!そんなに疑うなら回収してテメェが調べてみろよ。編集の跡なんかどこにもねぇってわかるはずだろ!」
「ホォ、てめぇの編集技術は俺が適当に調べた程度で見分けがつく雑魚レベルってことでいいか」
「ちっげぇ、そうじゃねぇよ!!オレサマの技術は超一流だっつーの!」
「なら、俺が調べてもわからねぇはずだよなァ?」
「だーかーら、めちゃくちゃ気合い入れて隅から隅まで完璧にチェックすれば、どんな天才サマが完璧に編集しても、どっかにその跡は残るんだよ!!口先だけで疑ってる暇があったらテメェで調べてみろよ。もし編集してあったら、一か月後くらいには見つけられるんじゃねーの」
“完璧” なのに “証拠は残る” という矛盾した主張をしているせいで、喋れば喋るほどガキは自分で自分の首を締めていった。
その分野の論文に目を通したことがあり、実際に現場での作業を監督した経験もある俺には、ガキの言っていることが正しいと分かっている。
現時点では、どんな天才が丁寧に加工をしようとも、同じレベルの天才が時間をかけて隅々まで探せば見つけられる程度には、加工の痕跡がどこかに残ってしまうものだ。
だが、偶然このバーに居合わせただけで専門的な知識などない他の幹部の連中にとっては、ガキの主張がさぞ怪しく聞こえていることだろう。
結局のところ、真実を主張する者よりも場の流れを味方につけた者が勝つことになる。
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作者名:櫂渦【とーか】 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時:2023年12月8日 22時