23. 証拠は捨てられた。 ページ23
[-ジン’s side-]
「ハァ!?どういうことだテメェ!」
「そのままの意味だ。気に入らねぇ上司を殺した後で、そいつが裏切っていた風に見えるように自分で細工したんじゃねぇのか」
「んなことするかよ!大体、証拠だってちゃんと、奴のメール記録と殺害現場の監視カメラのデータを出したってのに」
「メール記録の書き換えなんざ、情報技術を武器に働く奴らにとっては朝飯前だろう。それとも、てめぇみたいなガキには難しすぎるか?」
キャンキャンと煩く噛み付いてくる子犬を相手に、馬鹿でもわかるよう淡々と説明を重ねてやる。
俺が指摘してやるまでもなくどうせそのうち下手を打って消える程度の小物だろうと思ってはいたが、わざわざAを貶す真似をしてまで売られた喧嘩ならば買ってやるのが筋というものだろう。
隣で勝手に俺のボトルから酒を飲み始めたベルモットも気には食わないが、所詮はどこにでもある酒の一杯や二杯で文句を言うのも面倒だからと捨て置く。
借りを作るのが嫌いな女のことだから、どうせ飲ませた分も近いうちに倍以上の値段の酒になって帰ってくるに違いない。
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作者名:櫂渦【とーか】 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時:2023年12月8日 22時