[映画編] サブマリン。 (ページ19)

今日:14 hit、昨日:47 hit、合計:8,650 hit

19. ページ19

「怒らないで、ジン。今はまだ名無しだけど、近いうちに与えられる予定だから顔合わせって言ったのよ」

「ハッ、幹部入りする前にそこらでくたばるんじゃねぇのか。喧嘩を売る相手も見極められねぇガキは嫌いだぜ」

その言葉を聞いて、青年も自分がジンに許されたのではなく見向きもされていないだけだという現状に気づいたのだろう。
私の隣からは、悔しそうに歯軋りをする音が聞こえていた。

それでも、流石に今ここで余計な口を挟めばいよいよ能無しのレッテルを貼られるということが分かる程度の分別がつくらしく、一応は黙って私たちの会話を見守っている。

「ほら、例の裏切り者殺しのお手柄を立てたエンジニアのことは聞いてるでしょ？」

「あァ。────ってことは、このガキがあの論文の野郎か」

「なぁに、論文？」

「いや、こっちの話だ。で、NOC殺しのお手柄で幹部お取り立てってことか？」

NOC殺し。

その連絡が私を含む幹部に回ってきたのは、つい数日前のことだった。